★○ードキャプター ○くら 的ヒカルの碁3(前編)★

アキラは最近良く夢を見る。
それは、健全な青少年であれば仕方ない夢…。
愛しい恋人と抱き合っている夢。
初めは服を着ていた二人だったが、夢が続くようになって一枚、また一枚と薄着になり…最近の夢では裸で抱き合うようになっている。


相手の胸がなく、自分と同じものが下についてるだけだが…そんな事は関係ない。

滑らかな彼の肌を確かめようと彼に手を伸ばすと、彼が消えて夢が終わる。
そんな事の繰り返しに、只今寝不足真っ最中のアキラなのであった。

自分の恋人であるヒカルは、いつもキラキラしていてまっすぐで…こんな夢を見てしまう事に罪悪感を感じてしまう。
これが悪いことでないことは分かっている。
でも、こんな事をするには自分はともかく…ヒカルには早いに決まっている。

やっとキスをすることになれ、抱き合うことにも抵抗しなくなったばかりの幼い彼…。

自分だって経験は無いが、知識はある。
いつか愛しい恋人と…と思って、中国にいた際に調べつくしたからだ。

(きっとヒカルは男同士でどう抱き合うか…なんて知りもしないだろうし、考えてもいないんだろうな…)

ため息混じりに、憂鬱な朝を迎えるアキラであった。


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「和谷〜!先にいくよ!!」
「おい!ヒカル!!どうしたんだ?」
「お父さん、行ってきます!」

父の返事もそこそこにヒカルは家を出る。
いつも、余裕を持って自分を迎えに来るアキラが今日は来ない。
ヒカルは、5分ほど先に一人で住んでいるアキラに何かあったのかと思いが、ヒカルの足を急がせる。

(何かあったの?!アキラ!!)

アキラのマンションの下にたどり着くと、部屋番号を押す。
オートロックの彼のマンションからはなんの返事もない。
ヒカルは、少し迷い…鍵が2つ下がっているキーホルダーをだす。
一つは家の…一つはアキラの家のである。

アキラが葉瀬町に越してきたときに、何かのときの為にとアキラから渡されていたのだ。
アキラの家に来るときは、彼がいつも一緒だったので一度も使用したことはない。
でも、今は緊急事態だから…。

(アキラ…無事でいて!!)

オートロックを解除して、エントランスに入りアキラの部屋に続くエレベーターの中でヒカルは祈るような気持ちであった。

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『ピンポーン』

チャイムが鳴る音がする。
アキラは、インターホンに出ようと思ったが、身体が言うことをきかなかった。
憂鬱な気分で起きた朝は何度もあった。

そのたびに軽く頭が痛いことが多かったため、今日まで気付かなかったがアキラはここ何日か風邪を引いていたのだった。
軽い頭痛があったが、他はあまり変化がなかったので、普通に過ごしていたのが仇となり…今朝目覚めた後、急な寒気と吐き気を感じて寝付いていたのだ。

(ヒカルを迎えに行かなきゃ…!)

こんな状態でも、寝ぼすけな愛しい恋人のことしか考えていないアキラである。

そこへチャイムの音。

(一体誰が…?)

朦朧とする頭で考えるが、全く考えがまとまらず…浮かぶのは愛しい笑顔だけであった。


「アキラ!アキラ!!」

扉の開く音とともに、元気の良い声が飛び込んでくる。

(…ヒカル?)

愛しい彼の声に、熱に浮かされている自分の空耳かと思う。
(ついに、幻聴まで…)
自分が病気なのは、身体じゃなくて心のようだ…と苦笑いすると、自分の顔の上に影が落ちる。

「アキラ…具合悪いのか?」

そこにはヒカルが心配そうな顔で、見つめていて…恐る恐る、自分の額に手を載せる。

「熱があるみたい…。体温計ある?」

計ってみなきゃ…と、キョロキョロとアキラ部屋を見渡し、救急箱を探すしぐさをする。

「ヒカル…学校に行かなきゃ…」

既に、今すぐ走らなければ学校には間に合わない時間である。

「馬鹿!!そんな事より、お前のことのが大事だろ?!」

泣きそうな顔で怒るヒカルに、今までの沈んでいた気持ちが軽くなり…頭まで少し軽くなったような気がして…アキラは、自分の額にあるヒカルの手に自分の手を重ねる。

「ヒカルの手…気持ちがいい」

甘えるように言うアキラに、いつものしっかりした彼と違った一面を見たような気がして…驚きもし、うれしくもあるヒカル。

「気分が良くなるんだったら、ずっとこうしててやるよ!でも、まずはご飯食べなきゃ!!げんきにならね〜よ?」

そういって、自分のご飯を作るべく台所に立とうとするヒカルに、学校とヒカルの家に電話をするように、アキラが言い…、その電話を受けたヒカルの父が、薬やら体温計やらお粥やらをもってきて…しばらく、慌しかったが、熱が収まってきたのでヒカルの父が仕事に出かけ…二人っきりになるとまた静かな気恥ずかしい時が訪れる。


ただ、いつもキリリとしているアキラが病に伏しているのだ。
父親が来ていた間は、彼がする事を大人しく手伝うだけのヒカルだったが、父が帰って自分がアキラの看病をすることになると、俄然張りはじめた。
いつも、自分に沢山のことをしてくれるアキラに、何かしてあげたい!
そんな気持ちでいっぱいなヒカルは立ったり座ったり大忙し(実際には何もしていないのだが)。

「な、アキラ?なんか、飲みたくない?それとも、なんか話して欲しい??」

まるで、リスのように目をクルクルさせて自分を見下ろす様は、何故か嬉しそうでアキラも苦笑いがでてしまう。
でも、折角愛しい彼が自分の為に、一生懸命になってくれているのだ。
何かを頼まなければ申し訳ないというものだろう!

「じゃあ、さっきしてたみたい手を頭に置いて欲しいな」

嬉しそうにアキラが笑うので、ヒカルは誘われるようにその頭に手を置き、髪をなぜ始める。
いつもは、自分が髪を撫ぜてもらったり優しくしてもらってばかりで…それと同じ事を返してあげているのが、嬉しいヒカルだった。


◆後編へ◆