★塔矢さん家のお正月3★ ヒカルと行洋が一局打っている間も、来客はひきりなしに続き、今大注目の若手・ヒカルと元名人の行洋の試合に、訪れた客達も満足げであった。 やっと、ヒカルが客達に解放され、明子にアキラの部屋に連れて行かれて、その何もない部屋でボーとしている頃には、日も暮れ始めていた。 (それにしても、コイツん部屋、マジでなんにもねーのなぁ…) およそ、同じ年とは思えない整頓された部屋。 アキラらしさに、なんとなく面白くさえあって、一人でクスクス笑っていると、ふすまが開く。 驚いて顔をあげると、お茶を手に、いつもの怒ったような顔で自分を見下ろしているアキラと目があう。 (〜なんだよ〜!昨日はあんなに、一緒に笑ったのに!!すげぇ〜ムカつく!!) その冷たい眼差しに、急に胃が締め付けられるように感じたヒカルは、ムッとしてアキラを睨みつける。 「なんだよ!」 「別に…。疲れたろう。これ、頂き物だけど」 そっけなく、お茶と茶菓子をヒカルの前に置くと、アキラもその前に腰を下ろす。 (なんだよっ〜!こいつ、何怒ってんの??) 無言で、茶菓子をほうばりながらアキラを盗み見るが、アキラのほうはお茶を静かにすするばかりである。 気が重くなるような静かさに耐えられなくなったヒカルが、湯飲みを勢いよく畳におく。 「塔矢!なんだってんだよ!!昨日はあんなに楽しかったのに!オレ…折角お前と年初めにちゃんとお前と打ちたくて来たのに…なんで、ずっと黙ってんだよ!!」 ずっとヒカルから目をそらすようにしていたアキラだったが、ヒカルの怒鳴り声に初めてヒカルを見つめる。 負けじとアキラを睨み返すヒカル。 すると、アキラがポツリと呟くように 「君…駅でウロウロしていて、緒方さんに無理やり連れてこられたんじゃないの?」 「そうだけど、お前んちに行ってもいいか悩んでて、駅のところでウロウロしてたんだろーが!」 これでも、一応気〜つかったんだからな!と何故か偉そうにいうヒカルに、アキラは急におかしくなってきて 「プッ」 噴出してしまった。 「なんだよ〜!お前!!」 いかぶしげにそれを見ていたヒカルだったが、楽しそうに笑うアキラに自分も可笑しくなってきて… 明子がお茶の替えをもって、アキラの部屋に入ったときには楽しそうに爆笑している二人の姿があったのであった。
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