★塔矢さん家のお正月4★ そのあと、アキラとヒカルは「ちゃんと」足付碁盤で一局打って…遅くなったので、ヒカルは塔矢家の食事というか、すっかり塔矢門下の宴会だったが…によばれ…。 午前中の仲たがいなど忘れて、楽しく過ごしたヒカルが家に帰ろうとすると すっかり酔っ払ってご機嫌な、緒方に捕まった。 「おい、進藤。ちょっと、ソコに立て!」 据わった目で命令する緒方に、渋々ヒカルが言われた場所に立つと、今度は 「おい、アキラ君。ちょっとソコに立て!」 今度は、アキラに命令をする。 困ったように目をかわすアキラとヒカルが、命令どおりに並ぶと、緒方はよろめきながら使い捨てカメラをとりだす。 「この間のイベントでもらったやつだが、全然とってないからな。」 といって、並んだ二人を写真に収めると満足げに笑い 「じゃぁ、これはお年玉にアキラ君にやろう。」 と、カメラごとアキラに手渡し、そのまま宴会の席に戻ってしまった。 「なんだ…あれ?」 酔った大人の不可解な行動など分かりもしない二人は、目をかわし…また、小さく笑いあった。 送っていくというアキラの言葉に 「馬鹿にすんな!帰り道くらいわかる!!」 と、また偉そうにして帰っていったヒカル。 (そういうんじゃなくて…ただ、もっと二人っきりで居たかったんだけど…) 少し、残念に思いながらもヒカルらしい態度に静かな笑みがこぼれるのであった。 翌日、まだ残数の多い使い捨てカメラを現像に出すと、うれしそうに笑う自分と、同じように楽しそうなヒカルが並んで写っていた。 全く撮っていないと緒方が言っていたので、てっきり写真は一枚だけだろうと思っていたのだが、もう一枚の写真が入っていて、アキラは首をかしげる。 そこには、何時撮ったのか、青空の下…ヒカルが心配げに悩むような姿が写っていて… 『お前んちに行ってもいいか悩んでて、駅のところでウロウロしてたんだろーが!』 と、真っ赤になって怒っていたヒカルを思い出して胸が熱くなるのだった。 (進藤が僕のことを考えていた…) その事実がアキラを嬉しくする。 (最高のお年玉ですよ。緒方さん。) いつもは自分をからかってばかりの兄弟子の、ちょっと変わったお年玉にこのときばかりは素直に感謝するアキラであった。 その写真は、アキラにとって一番の宝物になった。 二人が、気持ちを交わすまで…。
◆おわり◆
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