★塔矢さん家のお正月2★ 「やあ、アキラ君。明けましておめでとう。」 「緒方さん…。明けましておめでとうございます。」 声に気付いて顔をあげると、正月早々ご丁寧にいつもの白スーツで登場した兄弟子が居間の入り口で面白そうにこちらを見ているのであった。 「緒方さん、そんな所ではお寒いでしょうから、どうぞ中へ」 そういって、にこやかに進めても緒方はそこから動かず、尚も楽しげにしている。 「アキラ君にお年玉をあげようと思ってね」 「それはありがとうございます。でも、今年は僕も働いておりますし、そういったものは…」 「金じゃない。もっと、アキラ君の喜ぶものだよ」 「?」 アキラが怪訝そうに、首をかしげて緒方を見つめていると、緒方の白スーツの後ろからピョコっと、黄色い頭が現れた。 「えっ!」 驚いて、目を瞠ると、緒方の身体に隠れていたヒカルが楽しそうに緒方の横にピョンと立つと 「よっ!」 と、人懐っこい笑顔で笑いかけてくる。 先ほどまで、想いをはせていた人物の突然の登場に、嬉しさと驚きと…そして何故か、緒方の横でニコニコしている彼に、少し腹も立ち 「進藤!どうしたんだ?」 と、怒ったように声を上げてしまう。 突然の来訪に怒られたのかと誤解したヒカルが、口を尖らせる。 「なんだよ!そんなに大声だすことないだろ?そりゃ、急に来て悪かったけど…」 折角の正月に、なんだか険悪な雰囲気を醸し出す少年たちに、大人の緒方が口をだす。 「まぁまぁ、アキラ君。進藤が、駅前でウロウロしてるのを見かけたから俺が無理やり車に乗せて連れてきたんだ。そんなに、コイツを責めるな。」 「別に僕は…」 「まぁまぁ」 ムキになっていいかえしてくるアキラを軽くみやると、緒方はヒカルの背を押して、居間に入っていく。 その様子に、またも苛立ちがこみ上げてくるアキラ。 なんとなく、アキラとヒカルが気まずそうにしていると、客を送り出していた父・行洋と母・明子が居間に戻ってきた。 「まぁ、進藤君まで来てくれるなんてうれしいわ」 アキラの同世代の友達が遊びに来たと思った明子は喜び、行洋も 「進藤君と会うのは久しぶりだね。」 と、にこやかに歓迎し、そのまま一局打つ事になり…。 (一体全体、なんなんだ!) 折角、ヒカルに会えたのに、最早苛立ちしか感じないアキラであった。
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