★母と息子の子供の日。2★


夫は、いつも会社で帰りが遅い。

だから私はヒカルに持たせたお弁当の残りを食卓に並べて一人夕食を始めた。

(なんだか、おいしくないわ…)


ヒカルが、家族でも作って家を出ればいつもこんな日が続くのね…。
そう思うと、また寂しさが襲う。

(いけない!私は、ヒカルが幸せでさえいてくれれば!!)

そう思って、私は気分を変えるためテレビのチャンネルをとる。


『さて、4日後にせまりました、北斗杯ですが〜』

何気なく電源を入れた状態でTVをつけると、ヒカルがよく見ている囲碁がメインで扱われているTV局が表示され、囲碁に関するニュースを映していた。

(あら?これ??)

昨年、ヒカルが参加した北斗杯というイベントの特集を組んでいるようだった。

『去年は、日本勢は大変残念な結果でしたので今年は頑張って欲しいものです』

年配のコメンテーターのような男性が言っているのを聞きながら、私は昨年の事を思い出す。

(あの時、私も見に行ったのよね…)

祖父と一緒に、ヒカルの応援をするつもりで…。

(ヒカルがどんな風に働いているか見てみたかったのよ)

でも、そこで見たのは…自分が思っていた以上に厳しい世界。
身を削るような対局とプレッシャーの中に見た息子の顔は、自分がみてきた甘ったれの顔ではなく…

(すっかり、プロの顔だったわ…)

それでも、自分は負けてしまったヒカル…その碁に批判する人…を見るのが悲しくて、会場から飛び出してしまった。
その後、ヒカルの碁は負けたといっても賞賛に値するものだったと…祖父からも聞いたし、こっそり読んでいる囲碁の雑誌にも書いてあったけれど…。

(ヒカルは、そんな事じゃ納得していないわ)

自分には分かるのだ。
小さい頃から見てきた息子は、飽きっぽくていい加減だったが…思い込んだら遣り通す…そんな意思の強さも持っている事を。

 

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  一人で食べるご飯て、なんだか味気ない…ですね。