★母と息子の子供の日。1★ 空が青い。 そんな気持ちのいいお天気が続くこの季節になると、進藤ヒカルの母・美津子には一つの心配事が浮かんでくる。 この時期になると、何か身辺が忙しくなるヒカル。 ----------------------- (ああ、日が翳ってきたわ。お布団、しまわなくちゃね。) 日の落ちてきたベランダを眺めながら、私はぼんやりと思った。 今日から息子のヒカルは、泊りがけで同じ棋士の家で合宿だ。 (いつもはうるさくて仕方ないのにね) と私は、まだやんちゃ盛りの息子を思い浮かべて、こっそり笑う。 とは言え、最近ではうるさい方がホッとする。 人より早く、社会に出て大人になっていくヒカル。 (それに…、あの子は急に変わったから…) 飽きっぽくて、我がまま放題だったヒカル。 自分で、見つけた道を進んでいける人は多くは無いとは思う。 (前にはイヤになるくらい明るくて元気だったのに…) いつからだろうか?あまり笑わなくなって、ボンヤリする事が多くなったのは。 『母さんなんか碁わかんないくせに』 去年言われた言葉が、胸に引っかかっる。 (ヒカルのこと…分かりたいと思っても無理なのかしら?) 自分では分からない世界に身をおいている息子なのだ。 (昔から、癇の強い子だったから…) 本当にデリケートで、よく夜泣きをしたものだ。
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