7/2…イベント当日
--ヒカル3--
「はぁ、大丈夫かな…オレ」
何度も練習したけど、劇なんて小学校の学芸会以来だから…。
(正直…、手合いより緊張する〜)
オレは、土曜日で空いている電車を意味もなく見渡した。
オレが不安になってるには理由がある。
オレの相手役である、織姫をやるはずだった奈瀬と練習をしたのが1回だけだったこと。
本当は、試験前の奈瀬には悪いけど練習をたくさんしたかったけど、それは皆忙しいってことで、練習は2日とってあったんだけど貴重な1日は、奈瀬が急に頼んであった指導碁が入ったって事でおじゃんになったんだ。
(碁の勉強じゃ〜ショウガねーモンな。)
唯でさえ、貴重な時間をとって貰ったのだから文句は言えない身分だ。
(奈瀬には、今年こそがんばってほしーもんな)
姉御肌の奈瀬は、いつもオレ達に厳しくってやさしくって楽しくって。 一人っ子のオレには、姉貴がいたらこんな感じかなぁ?って思わせる…貴重な存在な気がする。 負けん気が強くて、気も強いから…正直、奈瀬の彼氏は大変だと思うけど…。
そんな事をぼんやり考えてたら、見慣れた風景が目の前に広がってきた。
(休日って、この駅に降りる人すくないよなぁ〜。)
オレは、棋院に向けて足を進めながら気を紛らわせるために、最近の事を考えた。
でもって、浮かんでくるのは今朝みた塔矢の綺麗な笑顔だった。
『行ってらっしゃい。進藤。がんばってね。』
(あいつ…なんで、あんなに楽しそう…いや、嬉しそう?だったのかなぁ?)
今までのことを考えると、絶対に、オレが演技とはいっても他のだれかと恋人役なんてやったら邪魔するか…いじけるか…まぁ、あんなふうに協力的だったり…なんて、考えらんねぇし…。
(な〜んか、ひっかかるんだよなぁ。)
でも、今回アキラが邪魔する気配はなく…劇に絡んでくることもなく…オレの練習にだけ付き合ってくれた…。
(あいつのが一生懸命だったくらい?)
ちょっと、セリフ読みをだらけてTVみてたら、すぐ練習を強制されたし…。
(でも、まぁ、オレ一人だったら、ぜってーセリフとか覚えれてないもんなぁ)
囲碁以外のことって、オレ飽きっぽいし…。 感謝しなきゃ…なのかなぁ? (でも、協力代に、色々されたし…イーブン??)
オレがそんなことを思いながら、顔を赤らめてると後ろから声がした。
「おい!進藤!!大変なんだ〜」
あせった声で、オレの肩をガクガク揺らすのは、われ等が舞台監督の和谷だった。
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