★オレとアイツの子供の日。3★

なんとか、走ってきた道を戻って…慣れた道順を急いでたどり着いたときには、予定時間からたっぷり30分はオーバーしていて…。

オレは息を飲み込むと、塔矢家の戸を叩く。

「おーい、塔矢!来たぞ!!」

両親が留守がちになっている為に取り付けなおしたという、馬鹿でかいインターホンに向かってオレが声をかけると、反応がない…。
のに、
『バタバタ』
大きな音がして、『ガラッ』っと戸が開いた。

そこには、予想通り眉がつりあがった囲碁プリンス…こと、おかっぱ棋士がオレを睨んでいた。


「どうして、こんなに遅いんだ!!」

地の底をはうような…というのは、こんな声じゃないだろうか…。
オレは、あまりの恐怖に全く違うことを考えながらヤツの顔をみる。

「ちょっと、迷ったんだよ!」

オレは事実を短縮して伝え、通せんぼをするように立ちはだかるやつの隙間を縫って、玄関に入る。
と、案の定塔矢が

「迷った?何度、この家に来たと思ってるんだ!!」

靴を脱いで、家に上がろうとするオレを追いかけて塔矢も玄関に入ってくる。

「ちょっと、行き過ぎたんだよ!!」
「行き過ぎた!?何をしてれば、そうなるんだ!!」

怒鳴りつけるような塔矢の声に

(コイツ…また、妙なこと勘ぐってるんじゃねーだろうな…)

バカみたいなことだけど、オレは心配になった。
常々、異常な程のやきもちブリを発揮してるわけだ、コイツは。

『キミは綺麗だから…心配だ』とか言って、無理やりキスマークを見えそうなところにつけてきたり(その時オレは、怒って3週間、ヤツと口を利かなかった)

『キミは知らないんだ…どれだけ人の目をひきつけてるか…』とか言って、無理やり若手棋士として参加のイベントについてきたり…(その時ヤツは、オレ以上にファンに囲まれて、ヤツが言う『オレを守る』どこじゃなかったみたいだったけど…)

自分が、オレに興味があるからって…他の人がそうな訳ないのに…。
女の人とならともかく、コイツのやきもちは性別を超え…下手すると動物はもとより、モノにまで及ぶのだ。


(バカ塔矢!)

オレなんかよりずっと綺麗だと思う恋人に向かって、オレは心の中で舌を出す。

「だから迎えに行くと言っただろうが!!」


オレの気持ちを知ってか知らずしてか…ヤツはオレに顔を近づけて怒ってくる。
正直、美形が怒るとマジ怖い。

でも、そんなにオレが信じランねーのか!!って、感じでオレも腹が立ってきて…

「大丈夫だと思ったんだよ!!」

と怒鳴り返す。

オレ達がにらみ合ってると、

「おい、あがらせてもらうで…」

塔矢と二人同時に入り口を振り向くと、社が呆れたように佇んでた。


 

◆4◆