★オレとアイツの子供の日。8★


 

オレが、口ごもってると、変な誤解をしたらしい塔矢は

「やっぱり…」

そうつぶやいて、急にオレにのしかかってきた。

『ドッサッ』

畳に倒れこんで、オレが衝撃に目を細めてると、ヤツが無言でオレのシャツをたくし上げる。

「わっ!バカ!!何してんだ!!」

今は風呂に行ってるけど社だっているのだ。
この後、三人で寝るはずの部屋なのだ。
オレがもがいてると、すごい力でオレの手を抑えながら

「何って?キミが彼に何かされてないか…チェックしてるんだよ?」

その言葉にオレの堪忍袋ってやつが切れた気がした。

「オマエ、ザケンナ!!」

そういうと、オレは渾身の力でやつを跳ね除ける。

「何が…って、何をするって言うんだよ!!オレが、そんなに誰とでもホイホイするように見えるのかよ!!」

オレが、本気で怒った事でヤツも、理性を取り戻したらしい。
ちょっと、シュンとして

「ごめん…」

謝られたって、簡単に許せない事だってある。
オレだって、こんな風に喧嘩したりばっかりは、嫌だ。
大体、その原因の殆どはコイツの異常なヤキモチのせいなんだ!!


オレが無言で睨みつけてるとヤツは

「ごめん…」

もう一度つぶやいて、うつむいた。
オレが、まだ黙ってると

「僕は面白みも何にもない人間だ…。だから、キミが僕といる事を楽しんでくれてるか…いつも心配で仕方ない。」
だから、キミが他の人と笑っているのを見ると理性が飛んでしまうんだ…。
そうやって、うなだれてる姿のどこが囲碁界の王子だというんだろうか?
関東棋院一ファンレターをもらう男が、そんな下らない事を心配に思っているのか…と思うと、こちらまで情けなくなってくる。
情けなくて…

(笑える…)


結局オレは、本気でコイツをつっぱねることなんて出来ないんだ。

オレは、塔矢に向きなおすと

「あのな、社は友達!オレがこんなんするのはお前だけ!!」

そういって、塔矢に軽くキスした。
自分からするキスは正直恥ずかしい。
でも、こんな風にうなだれる塔矢を見てると、ちょっと可哀想だと思うのと可愛く思うのと…なんか…多分愛しいって気持ちがいっぱいになって…ついしちゃいたくなるんだ。

オレからのキスに驚いたのか、塔矢がオレをじっと見つめてて、オレは照れくさくなって顔を背ける。

「も!ソーユー訳だから!!オマエもう変な事考えるなよ!!」

そう言ってオレは、塔矢に笑いかけた。

◆9◆