★オレとアイツの子供の日。6★


「なんだよ!」

オレは、驚いてヤツを引き離す。

「他のヤツの事なんて考えるな!」
「は?」
「今、何考えてた?」
「…」
「僕より、高永夏の方がよくなった?」

「そんな訳、あるはずないだろ!!」

オレはムカついた。
オレが、男好きとでも思ってるんだろうか、コイツは!

どんなヤツが現れたってオレの一番のライバルは、やっぱり塔矢しかいないんだ。
だって、佐為に打たせることより自分で打ちたいと思わせたのはコイツなんだから。
大事なことを決めるとき…いつだって、コイツがその先に居たんだ。

でも、コイツの持つ不安はオレにも分かる…。

『自分より強いヤツが出てきたら、ライバルは自分ではなくなってしまうのではないか…。』

だって、それはオレがいつも持ってる不安でもあるから…。

自分より碁の強い人間にしか興味を持たない塔矢。
コイツが、オレに興味をもったのだって、オレが同じ年でコイツに勝ったからだ。
本当に、ヤツと打ったのがオレではなく佐為だって事をしらないで…。


オレが怒りから、ちょっと悲しい気分でうつむくと、

「進藤?」

塔矢がオレの顔を覗き込む。
と、
「ご免。」
そういって、さっき噛み付いたところを優しくキスしてきた。

「塔矢?」
「また、キミに八つ当たりしてしまったね…」

自分でもどうしようもならない思いに、塔矢も戸惑っているのだ。
その事が分かるから、オレもコイツのやきもちはある程度許容してるつもり。

オレは自分が捕われちまった不安を無理やり振り払うと、

「塔矢!絶対勝つからな、オレ達!!」

そう言って、塔矢に笑いかけた。
そんなオレに塔矢は優しくキスしてくれて、なんとか仲直りしたなぁと思ったのに…
コイツッたら

「今年は、キミは僕の部屋に泊まるんだよ。」
「はぁ?そんな事できるか!!」

オレが怒っていうと、ヤツも負けじと

「僕が、キミが他の男と同じ部屋で寝る事に耐えられると思ってるの?」

(ついに…開き直りやがった…)

ある程度のやきもちは許容してやるよ。
でも、チームで集まってオレだけが塔矢の部屋に泊まったら社はどう思うだろう?

(っぜったい、駄目!!)


オレ達は、ただの関係じゃありません!!って言ってるようなもんじゃんか!!
オレは、焦って

「ともかく!変だろ?大体、社は…っていうか、フツーの男はオレなんかに興味ねーの!!」

オレは、塔矢に言い聞かせるように言うと、この話を早めに打ち切ろうと立ち上がる。
と、その腕をとられて
『ドッサッ!』
塔矢の胸の中に引きづりこまれた。

「なにすんだよ!」
「キミは自分が分かってない!!」

また、いつもの言い合いになりそうで、オレは結局

『ボクもキミらと一緒の部屋で寝る!』

という、ヤツの妥協案にうなづいてしまった。

◆7◆