★オレとアイツの子供の日。5★



アレは、オレと社が再び北斗杯代表に決まって…社からオレに、『また合宿をしよう』…という連絡が入ったことを告げたときのことだ。


丁度両親が中国に行っている最中の塔矢んちに打ちに来てたオレは、休憩に茶を飲んでいた。

(アイツのことだからなぁ、社がオレに連絡をしてきたこと煩いよなぁ…)

その日の朝、連絡があった社の件を切り出すのに、オレは頭を悩ましてた。

(ともかく、サラっというしか…ねぇよなぁ…)

オレは覚悟を決めて、熱い茶を飲み干す。
と、塔矢が台所からオレが好きだと言ったことのある茶菓子を取って戻ってきた…。
オレは、ヤツとの距離が出来るだけあるうちに…さり気無く切り出す。

「社が電話してきた」

今年は、携帯に…だけどソレは黙っとこう…と思ってると、案の定それまでにこやかだったヤツの顔が一変する。

「社が?」

すっかり呼びつけになってしまった社の名前を憎憎しげに言うと、オレの傍に近寄って腰を下ろす。
その足音は、『ドスドス』と、怒りに任せたもので…普段なら考えられないこいつの行動にオレは、ヒヤリと背中につめたいものを感じた。

「それで?何だって?」

オレの嘘を一つでも逃さないように…とでも言うように、オレに顔を近づけて聞いてくる。

「北斗杯の前に、また去年みたく打たないかって。」

オレは、ヤツから体をそらして距離をとると社の用件だけを短縮して伝える。

「場所はココでいいんだな。」
「ああ、その方が社もありがたいって…」

オレがとった距離の分、ヤツもオレに近づいてくる。
塔矢の熱い息がかかって息苦しくなって、オレはまた体をそらす。
そのオレの顔に手をかけると

「もちろん、キミも泊まるよね?」

有無を言わさないような、その瞳はちっとも笑ってなくて。
オレは、ちょっと声を上ずらせながら

「当たり前だろ!打ちまくるぜ!!」

(今年こそは、高永夏を倒してやりたい!!!)

オレは去年のことを思い出して、目にギラギラと火がともる様な気がした。
あれから、永夏とはネット碁を打つようになった。
よく分からない英語でメールもする。
アイツは、秀英に習ったのか、時々ローマ字で日本語を入れてくることもあるのだ。

秀策に対してのアイツの暴言が、間違いだった事は去年の北斗杯の後知らされて…ちょっとタカピシャだけど、碁に対する姿勢はオレ達と変わらないって分かったから。

(今は、負けられねぇライバルだって思ってるさ。)

だから、何度もネット碁で対戦するのだ。
だが、ネットと実際の対局はまるっきり違う。

(だから、オレは本当の対局でアイツに勝ちたいんだ!!)

オレが、北斗杯へと意識を飛ばしていると、その隙をついて

『グイッ』

「わっ!」
急に強い力で引っ張られて、その次に塔矢に噛み付かれる様なキスをされた。

 

◆6◆