★除夜の鐘が響く頃2★


しかし二人はまだまだ未成年。
親の家に住まわせてもらっている立場として、親の了解を得ならない。

「母さん、オレ31日の夜出かけるから〜!」
と、家に帰宅早々、切り出すヒカル。
突然の事に、母も驚きながらも…

「まだ子供なんだから…」
と渋っていたが、

「塔矢が一緒だから」

というと、一度だけ進藤家に訪れた礼儀正しい塔矢アキラを思い出し

「まぁ、塔矢君が一緒なら。ヒカル、迷惑かけるんじゃないわよ。」
と許してくれた。
正に、塔矢様様である。

一方、アキラも年始に向けて準備を両親に、31日の深夜から朝まで出かける事を伝える。

「そう、アキラさんもそんな年になったのねぇ」

と、囲碁ばかりしている息子を心配していた母は嬉しそうですらあり、父も

「進藤君とは久しく会っていないから、年明けに来れるか誘ってみなさい。」
と、上機嫌であった。


そして、31日である。

ヒカルは、年越し蕎麦をたらふく食べると

「いってきま〜す!」
といって、家を飛び出そうとする。

「ヒカル、ちょっと待って!」
「なに〜?」
出鼻をくじかれたようで、不機嫌そうにつぶやくヒカルに、母はマフラーを巻いてくる。

「明治神宮なんて、長時間お参りにかかるんだから、これもってきなさい。」

ただでさえ、寒さ防止に着膨れ状態になっていたヒカルは、「いらない」と断ろうかとおもったのだが、


『お母さんは、ヒカルのことが心配なんですよ。察してあげなさい』

と、いつも口うるさくヒカルの耳元で言ってきた美しい幽霊の声が聞こえたような気がして…

「サンキュ!行ってくる」

そう言うと、マフラーに鼻をうずめてドアを開けた。

 

 

◆3◆