★星降る庭1★
緒方精次はタイトルを二つ保持するようになって、一般客を相手にするような、イベントに呼ばれることが増えた。
元々、少なくはなかったのだが、少しとっつきにくいその風貌と一癖ある性格から、イベント関連は、あまり呼ばれることがなかったのだ。
が、重鎮の多い中で、まだまだ身軽でしかも、2つのタイトルを所持している緒方の人気は高く…また、人当たりのよい緒方の弟弟子を一緒に合わせたり、緒方と気の合う若手を一緒に組ませれば、それに構っている緒方は大抵、問題なくイベントをこなしてくれる。
ということで、緒方はイベントに呼ばれることがとても多くなった。
そして、そのイベントには塔矢門下のマイペース、葦原と…何故か、接点が見えないのだが、若手の有望株である進藤ヒカルがお供することが多かった。
その日もいつものように大盤解説を追え、予約の客をさばいた後の宴会で、いつものように進藤ヒカルをからかってやろうと、会場を見渡すと、いつもなら目の前のごちそうに旨そうに喰らいついているはずの、少年が見つからない。
と、ひよこ頭がコソコソしながら会場を出ようとしているのが目に入る。
そんな頭は、このイベントに参加する人物で一人しかいない…。
(この俺様に、酌もしないで…生意気だ!)
多少酔っ払っていた緒方は、飲みかけの日本酒を手にしたまま、ニヤニヤしつつ、入り口へ近づく。
ヒカルは、すぐには会場を出ずに、食べ物のあるテーブルのところで、きょろきょろしながら、何かをしていた。
その不自然きわりない姿に、緒方が
「進藤!」
といいながら、首に手をかけると
「うわ!」
という声と共に、ヒカルが派手に驚き後ろに下がった。
『ガシャン』
たまたま運悪く、通りがかったボーイがおり、その手には大量の飲料が…。
『ポタポタポタ…』
頭の上から、思いっきりビールとジュースをかぶった進藤ヒカルは、
「緒方先生…ひでぇ〜」
お気に入りのジャージに、色々なエキスがしみこむのを見ながら、つぶやいた。
◆2◆
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