★キミと僕とのひな祭り。2★
(きっと、遅れてくるんだろうなぁ…) 少し時間にルーズな恋人を思って苦笑いをしながら、僕はコートを羽織る。 絶対遅くなる彼を待つ自分が好きだ。 そして、遅れてきた彼の頬に僕の冷えた手を添えれば、彼は驚いて僕の手を温めてくれる。 普段なら、恥ずかしがり屋の彼は人目を気にして絶対に手など掴んでくれないのに…。
「お母さん、ちょっと出かけてきます。」 僕が「しまった」と思っていると、母はパッと顔を明るくして、 「まぁ、進藤さんと?だったら家で打ってもらったら?お父さんも喜ぶわよ。」 期待に目を輝かせる母に、僕は内心苦い想いを隠しながら… 「でも、進藤の予定もありますし…一応聞いてみますが…」 そう、語尾をにごらせながら僕は家を後にした。
アレが出ている季節は、絶対に彼には家に来て欲しくない。 (もし進藤がアレをみたら…) 僕の苦い思い出がよみがえり、それだけは絶対阻止しなければ…と心に決める。 (結婚だ、孫だ…なんて、話を聞いたら進藤は…。) 「別れよう」なんて、言ってくるんじゃないか…そう思うと、悲しくて仕方なかった。 自分との不安定な関係より、彼は家庭を選んでしまうんじゃないか…。 掴んだ手を離す気はないが、向こうから離されてしまったら…。
好きすぎて、キミのなにもかもに不安を覚えます…みたいな。 |