★キミと僕とのひな祭り。9★

僕が家に戻ってくると、母が玄関に顔を出した。

「アキラさん…何処へ行っていたの?進藤さん、心配して追いかけていったのよ?」

どうやら、僕を追いかけた彼は、僕が進藤の家にいなかったので、心配して家に連絡をしてきたらしい。

「すみません。ちょっと、頭を冷やす為に散歩をしていたので…」


僕は適当な言い訳をすると、母の顔をあまり見ないように自室へと向かった。

(今は、誰とも口を利きたくない…)


僕は電気も付けずに、部屋の隅に座り込むと、自分の塞ぎこんだ心に問いかける。

(何がそんなに、気に入らないんだろうか…。)

たかが写真だ。
ソレを見ただけだ。
見られただけだ。

なのに、こんなにイライラするのは…。

(君の過ごした時間に僕がいないのが悲しい)

でも、それだけじゃない。

(もしかしたら、この先僕のもとを離れて…あの写真のように誰かと君が並んで立ってしまうんじゃないかと…)


もしもに怯えるのは馬鹿らしいことだと思っていた。
僕は、いつだって前だけを向いて努力をしてきたんだ。
でも…。

(進藤のことになると、僕はいつもの僕じゃいられないんだ…)

僕は自分でもどうにもならない気持ちに、唇をかんだ。


どのくらいそうしていたのか、分からないけれど、母が僕を呼ぶ声でやっと僕は現実に戻った。

「何ですか?」

僕は、2階にある部屋から顔をだして、返事をする。
こんなふさいだ気分のときでも、僕はいい子の仮面を脱ぎ捨てられない。
益々自分が嫌になる…。

そう思って母の返答を待っていると、母の変わりにヒョコっと黄色い頭が見えた。

「!」
「塔矢…」
「アキラさん、進藤さんが見えたのよ」

…分かってますよ。お母さん。でも、もっと早くに言ってください!!

僕は心の中で、母に文句を言いながら進藤をにらみつけた。
彼は、ちょっと躊躇して、

「あがるぞ」
と、言い捨てると、階段を上がってきた。


 

◆10◆

やっと再会…?