★キミと僕とのひな祭り。11★

「なんだよ、ソレ!」

行き成り悪者扱いをされて、進藤がついに怒鳴り返してくる。
そうなると、僕も止まらない。

「キミが遅れてきて、家に電話なんかするから!!」
「は?」
「家で打つ羽目になって、キミは僕とは打たずに父と打って!!」
「へ?」
「人の気も知らないで、検討もしないで母と楽しそうにして!」
「ふ〜ぅ」
「その上、僕の昔の写真を見て笑って!」
「…」
「絶対キミには言われたくなかったのに、雛人形に似てるだなんて言って…」
「はぁ…」
「その上、僕のいない時間を他の人と過ごしてて」
「?」
「それで、その内僕を置いて、誰かと行ってしまうんだ!!」
「…おい…」

僕が、今日一日思い悩んでいた事を一気に怒鳴りたてると、ただ相槌をうっていた進藤が、僕にぐいっと近づくと

『バッチ』

両手で僕の頬を強く挟むように打った。

「!何するんだ!!」

いきなり走った衝撃に、僕は赤くなった頬を手で押さえる。

「ちったぁ、頭冷やせよ。」
「!僕は冷静だ!!」
「どこかだ!!オマエ、そうやってすぐ突き進むの、悪い癖だぞ!」
「ムッ、そんな事言われたのは今日が初めてだ。」
「みんな、オマエの事シラなすぎ…」

進藤は、ため息をつくようにちょっと笑った。
その微笑がとっても優しくて…。

「なんだよ、泣くなよ。」
「泣いてない!」

僕は、頬に暖かいものが落ちるのを感じた。
コレは涙なんかじゃない!僕はこんな事で泣くわけないんだから。

「そんなに、痛かったのかよ?」

進藤は、自分が打った頬に手を添えると優しく擦ってきた。

「…痛かったよ。」


(心が…ね。)

そう、今日だけじゃなく…彼が誰かといるたびに僕の心は、軋むように痛むんだ。


「悪かったよ。」

そういうと、進藤はポケットに手を突っ込んで何かを取り出す。

「コレやる。」

僕は、進藤から一枚の紙を受け取ると、そこには

「オマエとオレが一緒にいるだろ?」

さっき進藤が母から貰ったはずの僕のひな祭りの写真と進藤の雄雛の写真が並んでくっつけてセロテープで貼られていた。
それは、とても雑で、両方の写真を無理やり追ってくっつけただけのものだったけど。

(確かに…僕とキミが一緒に並んでる…)

そんな単純な事で、僕は少し気分が落ち着いた。
僕らが、本当に一緒の時期を過ごせたわけでもないのに…。

「どうして?」

どうして、分かったのだろうか…彼に。
僕が写真を握り締めながら、彼を見つめると、てれたように彼は笑って

「家に帰ったのに、オマエいないし…どこほっつき歩いてんのかと思って、また探しに行って戻ってきたら、あかりがオレんちの前に来ててさ」
「…」
「オマエが、来たっていうのに、写真みてたら急に帰ったって言うから、その時見てた写真見せてもらったんだぜ。」
「…」
「オマエ、珍しく今日はイライラしてたし…ひな祭り嫌いなんだろ?でもさ、こうやってればオレと一緒なんだし、少しは好きになれるだろ?」


冗談めかしていってるくせに、頬を赤らめて、彼は笑った。


 

◆12◆

 

……。