★母と息子のひな祭り。6★ アキラさんの可愛い写真を見せていると、進藤さんはとても嬉しそうに笑ってくれて 「スゲェー可愛い!」 私が、手放しに喜ぶ進藤さんにつられて微笑むと、一瞬進藤さんの顔が悲しげに翳ったように見えた。 「進藤さん?」 「だって、普通はお姫様は髪を結ってるじゃん?」 「そうね、普通はそうね。でも、私の実家に代々伝わるこの人形は肩で切りそろえた髪の毛なのよ。」 私達は、ただニコニコし合って、そして笑った。
「あっ、塔矢〜。オレいいもん、もらっちゃった!」 そういって、差し上げた写真をみせるとアキラさんの眉が一気に上がる。 (あらあら…アキラさんったら。本当に、進藤さんに対しては年相応の反応なのね…)
いつだって、私に気を使っていたアキラさん。 (でも、やっと怒れるようになったのね…。)
急にアキラさんが 「いえ、僕はこれから進藤の家に行きます!」 そういうと、急に席を立ち、 「ちょっと、待てよ!!塔矢〜」 と呼びかけ進藤さんの声も聞かずに家を飛び出してしまったの…。 正直言って、台風が去ったような状態に、私は… (いくら、同じ年のライバルだからってムキになりすぎじゃないのかしら?それとも、そんなにも特別なの…ね。) そう思ってボンヤリしていると、行洋さんの静かな声が耳に入ってくる。
「そ…そうですね。急ぎます!おばさん、ごめんね」 そういって、アキラさんを追う支度をしていた。 (特別なのは、アキラさんのほうだけじゃないのね…。) そう思って、ちょっとだけ安心出来て、私は進藤さんに顔を向ける。 「進藤さん…ごめんなさいね。アキラさんの事よろしくね。」
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