★母と息子のひな祭り。5★
大体の下ごしらえを終えて、お茶の替えをもって、客間に向かうと、そこでは一局打ち終わった行洋さんと進藤さんが何か楽しそうに話していて、アキラさんが思いっきり面白くなさそうな顔をして、それを聞いていた。
(アキラさんったら…)
我が息子ながら、不機嫌がバレバレな様子には疑問を感じながら可笑しくもあって。
私は、お茶を出しながらも、そんなアキラさんがもっと見たくて、遂々…
「まぁ、行洋さんたらずるいわ。進藤さんを独り占めで!!さ、今度はおばさんに付き合ってね!」
と、進藤さんに笑いかけた。
進藤さんと二人で、ひな壇の前に座っているのは不思議な感じがしたけれど、とても自然に受け入れられたわ。
私はずっと、こんな機会を持ちたかったんだ…と思ったの。
親である私にも見せないアキラさんを見せてくれる彼に、ちょっと嫉妬をしながら…アキラさんにとって、この子が特別な訳を知りたかったのかもしれない。
「進藤さんは、こうやってひな壇をみるのは初めて?」
一人息子と聞いていたので、そう聞いてみると
「いや、オレの幼馴染の家でよく遊んだから。」
「進藤さんは、アキラさんと仲良くしていただいているのね。」
「えっ!いや〜仲が良いって言うか…。ライバルだから…。アイツのお陰で、オレはどんどん強くなれるって思ってるから。」
「そう…。きっと、アキラさんもそう思っているわ。いつもね、家では『進藤が』って大変なのよ?そんな風に誰かを話すことってなかったから、とても嬉しくて…。」
「へ〜、アイツ家でオレの話とかするんだ…。なんか、嬉しいな!」
そう言って、少し照れながら笑った彼の照れた顔が、とても自然で…。
(こういう所が、アキラさんの心を溶かすのかしら?)
私は、もっとアキラさんのことを知って欲しくて、つい例の写真を引っ張り出してしまった。
◆6◆
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