★バレンタインdeタイフーン4★
道すがら、アキラは幸せをかみ締めていた。 (ああ…本当に、このチョコレートを買ってよかった…) 自分の少し前を歩くヒカルの頭を見ながら、改めて先程の出来事を思い出す。 (あれは…嫉妬…だと思っていいんだよね?) 金髪の前髪が揺れる愛しい恋人の頭に、心の中で話しかけるアキラ。 いつも自分ばかりヤキモキさせられていると思っていた。 本当は、問い詰めて白状させたいところだけど… (そんなことしたら、キミは怒り出してバレンタインどころじゃなくなってしまうから…ね) 今日のところは、分からなかった振りをしてあげるよ…と心の中で呟く。
「塔矢!遅い!!オレ腹減った!!!」 「うん。僕も。予約したお店までもうすぐだからね。」 そういうと、アキラはヒカルの横に並んで、微笑んだ。 --------------------------- アキラの予約した店でおいしく食事をして、満腹になったヒカルは、ご機嫌で二人の家の扉を開ける。 二人して、部屋着に着替えてくつろぎながらソファに並ぶ。 アキラが今日買ったチョコレートの山をヒカルの前に差し出すと、 「進藤…これ。改めて、だけど…もらって欲しい。」 そういって、一つずつチョコレートの包みをヒカルの手の上に載せていく。 「手作りで出来たら一番よかったんだろうけど…」 甘いものが得意ではないアキラに、美味しく作る自信はなく…色とりどりのチョコレートを買ってきたのだという。
その視線に耐えられなくなったヒカルが、もぞもぞと貰ったチョコレートを端に寄せて置くと、自室へと向かう。 「どうしたの?進藤?」 「…塔矢…オレ…。」 「ん?」 「お前…こんなに、買ってきてくれたのに…コレしかねぇ…。」 そういって、一枚の板チョコを差し出す。 「お前甘いもん得意じゃねーから…これ、甘さが控えてあって美味いんだぜ!それは保証する!!」 ちょっとふてくされたように、上目遣いで自分をみるヒカルにアキラは、嬉しそうに微笑む。 「うれしいよ。進藤、ありがとう」 幸せそうに笑っているアキラに、ヒカルはもう一つ隠していたものを手渡す。 「これも…」 そういって、ヒカルはアキラに黒い箱を手渡す。 「?コレは?」 「チョコ…さ、ゼッテ〜美味いのは、保証するけど…それだけじゃ、さみしいかなぁって思って。」 ヒカルが見せる意外な思いやりに、アキラは思わずヒカルに飛び掛る。 「進藤!!」 「わっ、ばか!!」 『ドッス』 「進藤…好きだ…」 唇が離れると、アキラがヒカルを見つめて告白する。 何度も言われなれた言葉なのに…、真剣なアキラの瞳が、なんだか照れくさくてヒカルはアキラの胸を押すと体を起す。 「お前、性急すぎ!!まずは開けてみろよ?」 そういうと、包みを開けるようにせかす。 アキラがそのシンプルな包みを開けると、中から出てきたのはすっとした形の香水瓶。 「お前って石鹸の匂いしかしねぇ〜けどさ、たまにはいいかな…と思って。」 そういって、ヒカルはその瓶をとりだすとアキラの手首に一振りする。 「ん〜、やっぱいいなぁコレ。オレ好き!」 嬉しそうにその匂いを吸い込んでいるヒカルに、アキラも嬉しくなる。 「進藤、この香りが好きなの?」 「ん、色々嗅いだけどコレが一番だった!!お前に似合うって思ったし。」 そういって、アキラが引っ込めた手の香りに吸い寄せられるようにアキラに近づいてくるヒカル。 そのまま、ヒカルを自分の胸に抱きこんで 「嬉しいよ、進藤。大事に使うから。」 「へへへ。よかった〜」 本当は、板チョコを買った時点でデパートを後にしようとしたのだが…、流石にそれだけでは格好がつかないと思いなおし…もう一度紳士服売り場に行ったところ、この香水を見つけたのだった。 (ちょっと高かったけど、買っといてよかった〜) アキラの嬉しそうな顔をみていると、昨日の自分をほめてやりたい気分でいっぱいなヒカルなのであった。 ----------------------------- すみませんアホカップルで…。幸せな二人が好きなんです…。
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