★バレンタインdeタイフーン★ ※こちらはTOP画像と、メニュー画像に連動した(?)お話です。そちらも合わせてごらんください。


「進藤、14日は何の日か知っているかい?」

いきなり、同居をしている塔矢アキラが、真剣な顔で自分ににじり寄ってきた時、進藤ヒカルは

(また、何か企んでやがる…)

と、寝そべっていたソファの上で身を堅くした。
14日といえばバレンタインだ。ヒカルとて、毎年幼なじみのアカリを筆頭に近所のお姉様という名の(昔からそう呼べ!と強要されている)おばちゃん達にチョコレートをもらったりしているので、全く馴染みのないイベントではない。
むしろ佐為に出会う前は、はしゃいで過ごしていたくらいだ。

でも…。

(さてはコイツ、オレにチョコでもよこせって言う気じゃ…。)

嫌な予感が、ヒカルの頭をよぎる。

普段鈍いヒカルだが、アキラの強引な押しと巧みな誘導に引っかかって、何度も痛い目にあっている為に
(もう絶対に騙されね〜から!!)
と瞬時に誓った。


なかなか答えないヒカルに、立ち膝の状態でアキラが更に詰めよる。

「進藤!聞いてるの?」

その迫力に押され、身の危険を感じたヒカル。
とりあえずお得意の…佐為と共に過ごした時期に養った手段…シラを切ることにしてアキラから顔を背ける。

「え〜と、あっ、節分…は、もっと前だし、誰か誕生日だっけ?」

しかし、相手は塔矢アキラである。
こちらも、過去何回もヒカルにシラを切られ逃げられた痛い経験がある。
そう簡単には、逃す気がないアキラは、強気のまま更に詰めよる。

「2月は恋人同士には大事なイベントがあるよね?」

直球を投げられて、さすがのヒカルも、言葉に詰まってしまう。
ヒカルが何も言わないでいると、畳み掛けるようにアキラが

「僕らは恋人同士と言ってかまわない関係だと思うが?」

それは、意見を求める聞き方だが、目がそうは言っていない。
醸し出す空気さえも、
(うん、と言わなければ、体に思い出してもらうだけ)
と言っていた…。

これは逃げられないかも…と、早くも諦めながらも、最後の抵抗を試みるヒカル。

「あ…うん。だけど、オレ達男だし…関係ないんじゃね?」

唯一の逃げ道は…バレンタインというイベントが女が男にチョコをあげる日…という認識だけだ。

が…。

「キミ…知らないの?女性が男性にチョコレートをあげるのは 日本のお菓子会社の戦略で、本来は 男性が愛しい相手にプレゼントをして愛を告白する習慣なんだよ?」

「へ〜、おまえって本当に物知り…」

アキラのうんちくに素直に感心してしまうヒカル…そして、そんな彼を可愛いと思ってしまったアキラ。

一瞬和んだ空気が流れるが、アキラはハッととして本来の目的を思い出す。

(僕を和ませて、逃げ切る気だったな?進藤!!敵ながら侮れない!!)
別に敵なわけではないのだが…興奮状態のアキラは、訳の分からない事を心の中で呟く。
そして…
(ここは、負けられないんだ!)
そう決意を新たに、ソファに寝転がっているヒカルの上にのしかかるようにしてヒカルを見下ろし、アキラは最後の一押しをかける。


「進藤!そんな事はどうでもいい!!僕はキミに愛を告白してもらった事がない!!!」

いきなり寝っころがっていた所に、圧迫するように迫られ…ビビッたヒカルは一応弱々しくも否定する。

「いや…あるだろ?なんかは…。」

(じゃなかったら、こんな風に一緒に住んでねーし…)

実際ヒカルだって アキラが好きだから今の関係になっているわけで…一日に何度も

『好きだよ』

とか

『愛してる』

とか言ってくるアキラに、

『うん』

とか

『ああ』

とか 返事をしているし、時には恥ずかしいけれど

『オレも…』

と答えることさえあるのだ。

だがアキラは、今回のこのイベントに賭けていたと言っても過言ではない。
なんせ二人が今の関係になって始めての、バレンタインなのだ。

今回を逃したら、その次だってダラダラ結局ないままになってしまう!
そんな事は断じて阻止せねば!!

そんな気迫で迫っていたアキラにヒカルが敵うわけもなく…。

「進藤…僕は、キミに僕と同じようにしてほしい訳じゃない…。でも、キミに…キミから 言葉として…形として…少しでも表現してほしいと思うのは僕のわがままかい?」

結局、悲しそうに眉を寄せるアキラの顔にほだされて…ヒカルは バレンタイン当日にチョコをプレゼントすることを約束してしまったのだった…。

 

◆2◆