★雨の日はキミと 3★

 

顔を上げた僕に、影が落ちて…何かに覆われたように目の前が暗くなって、柔らかいものに口をふさがれる。

「な…!」

いきなり起こった事が理解出来なくて、僕は目を見張った。
そんな僕の目の前で、金色の髪が広がる。

「進藤…」
「あはは、驚いたか?」

何がおかしいのかニヤニヤする彼に、なぜか少しだけ腹が立って僕は声を荒げた。

「当たり前だろう!」
「だってお前が、目つぶってつっ立ってんの見てたら驚かせたくなったんだもん。」

襲われちゃうぜ?
と、イタズラを大成功に納めてご機嫌なキミに僕はわざと眉を寄せてみせる。

「キミ…いつも僕が外でしようとすると、怒るくせに。」

そう、僕の恋人はひどくシャイで…家の外での二人でする行為をとても嫌がる。
僕らの性別を考えて、人目を忍んで…という気持ちもあるのだろうけど…家にいるときだって何かとはずかしがって僕の好きにはさせてくれないから…僕はそれを攻めるように、さっきの大胆な彼の行動に、喜びと…ちょっとの怒りを感じたのだ。

(僕にはさせてくれないのに…)

それは彼に主導権を握られた事よりも、余裕そうな顔で僕を見つめる彼の笑顔が愛しすぎて…余裕をなくした表情を見たくなったせいだからかもしれない。
つまり、僕は彼がイタズラで仕掛けたキスひとつで彼に欲情したんだ。
僕が何も言わないでいると進藤は、困ったように笑い、二人の上に深めにかぶせてあったもの…グレーの大きな傘ごと体を後ろに引くと、軒先を少しはずれて雨の中にもどっていく。

「ほら、行こうぜ!」

そう笑われれば、僕が否めないことなど分かりきっていて…。

男向けの大きめな傘だけど、男二人は少しせまい。
僕は紙袋を濡らさないように、胸の前で持った。
僕より少し背の低い彼が、僕を濡らさないように腕をのばしてくれるのがうれしい。
そんな彼の気遣いに感謝しながら、僕はもっと喜びを感じたくて、気になっていたことを口にした。

「ところで進藤、キミどうしてあそこにいたの?」

近すぎる為に彼の顔がよく見えない分、彼が少し焦ったのが分かる。
その気配だけで十分だったけど、彼の口からはっきりと答えが聞きたくて…僕は答えを待った。

「コンビニ…に用があったんだ。」

と、手ぶらな彼が言う。
彼が持っているのは傘だけ…。
勘がよくて優しい彼が、なんの為に雨の中をでてきたのか…なんて分かりすぎる程で…僕は、彼のつよがりを愛しく思った。

「そう、僕のために来てくれたわけじゃないのか…残念だな。」

僕が笑いながら言うのを、彼は嫌そうな顔をしてちらりとみると

「お前はついで!」

と横を向いてしまった。顔が見えなくなった分、細くてすらりとした首がよく見えて、いつも白いはずのそれが真っ赤に色づいているのが、何よりも彼の心をかたってくれた。


◆4◆