★雨の日はキミと 2★

 

母の日にプレゼントを送ったときには、プレゼントを用意してなかった彼が僕からそれを買い取る形になったから…。
彼は僕の両親には気を使ってくれるのに、自分のご両親には何故か冷たい。
僕は幼い頃から、大人たちから一人息子だから親を大事にしなくちゃね…と言われ続けたし、同じ道を行く父やそれを支える母を尊敬している。
彼は…決してご家族と仲が悪いわけではないから、多分照れてるんだと思う。
いつも真っ直ぐなくせに、時々天邪鬼な彼だから。
同じように時々冷たくあしらわれる僕としては、すごく彼のご両親の気持ちが分かるというわけで…。
まぁ、僕の場合は彼を近くに感じられて嬉しいのだけれど。

そう思ったら彼の…朝よく見せる拗ねたような顔が浮かんできて僕はまた頬がゆるむ。

『ポツリ』

ゆるんでいた頬に冷たいものを感じて頬にふれると濡れていて

(雨…?)

思って空を見上げると、途端に雨足が強くなって僕は近くの閉まった店の軒下に入った。

(どうしよう…。)

家まではあと半分くらい。
走れば10分もかからない。

(でも…)

今日は絶対に濡らしたくない荷物がある。
周りを見回しても、この辺りは住宅街で、タクシーなど滅多に通らない。

(困ったな…)

僕はポケットの中から携帯を取り出してため息をついた。
今日は手合いだったはずの恋人に、さっき連絡を入れたときはもう家についていた。
でも…
真剣勝負に神経をすれ減らしたであろう彼を、こんな事で煩わせたくない。
そんな事を考えならがら、僕は雨が止むのを願いながら、しばし軒下で立ち往生した。
雨音は心地よくて、僕は目を閉じてその音に聞き入る。
昔の僕なら考えられない空白の時間。
彼と出会う前なら詰め碁をしたり、棋譜をなぞったり…碁の事ばかりだけれど、ぼんやり過ごすなんて考えられなかった。

(だけど…)

今時風なのに、自然の移り変わりを愛しそうに味わうことを知っている彼。
すれ違いのような出会いをして…彼を追って…追われて…、2年の月日を経て、共に戦える土俵に並び、一緒に打つようになった。
そんな風に…少しずつ近づいて、愛し合って、一緒に暮らすようになって…。
今は、僕もこういった沁みいるような時間が愛しいと思う。
こんな風に静かな音を楽しんでいると、彼と離れていても近くにいられるような気がするから…。
きっとどこかで彼もこの雨を楽しんでいると…そう思うんだ。

と、僕の近くの空気が変わった気がして、僕は顔をあげる。

 

 

◆3◆