★Angel〜佐為が消えた〜5★ まぶしい朝日の中、アキラはヒカルが休む部屋へと急ぐ。 昨晩、父が話してくれたのは、ヒカルの両親の話…、ヒカルが佐為と住むまで誰とも会った事がなかった理由…。 そして、今、アキラの気持ちは静かに…そして激しい思いが渦巻いていた。 (ヒカル…ヒカル…僕がきっと、君を一人にさせない…)
(……なき疲れてしまったのだろうか…?) 昨日の彼の様子を思い出して、恐る恐る扉を開ける。 そっと、アキラがベットに近づくと、そこには布団だけが膨らんでいる。 (ヒカル!?) アキラは、その部屋くまなく探す。 (いない…) どこを探してもみつからない彼…。 「ヒカル!!」 部屋を飛び出し、他の部屋も探す。
「アキラさん…どうなさったの?」 朝のひと時を夫と静かにすごしていた明子は、息子が物凄い形相で駆けてくるのを驚いてみていた。 いまだかって、そんなアキラを見たことなどない。 「ヒカルが…。ヒカルがいないんです!」 青ざめたようにいうアキラに、二人も驚きを隠せない。 「まぁ!」 「家中!今、佐為さまのお屋敷に電話をしたら、明け方にヒカルが戻ったそうなんですが…」 「そうね…。アキラさん、ヒカル君を頼んだわよ…」 母の声が背中にかかるのを感じながら、アキラは少しでも早く…と、駆け出していた。 ------------ アキラは、大きな門をくぐり、扉へと急ぐ。 何度も出入りしている邸がいつもと全く違った姿を見せる。 そのため、藤原邸は人気のないものとなっていた。 「申し訳ありません、塔矢アキラです!」
「塔矢様…わざわざ申し訳ございません。」 アキラが唇をかみ締めると、執事も辛そうに首を振る。 「ヒカル様…、一体どこへ…」 呻くように呟く執事の肩に、アキラは手を置き、励ますように肩をたたく。 「今日、ヒカルとは会ったのですか?」 そういうと、彼は激しく頭を抱え込む。 「……、心当たりはありますか?」 悲しそうに俯く執事に、アキラは自分の姿を重ねる。 (ヒカルのことを何も知らないのは…何も分かっていないのは…僕も一緒だ…) 悲しみに胸がつぶれそうになっても、まずはヒカルを探すのが先決で…冷静にならなければ…と自分を戒める。 「ヒカルの部屋から…何かなくなっているものはありますか?」 そうアキラに聞かれて、執事は少し考え… 「そう…、なくなって物…。ああっ!あります!!ヒカル様は殆ど何も持っていかれませんでしたが…、簡易の碁盤と碁石をお持ちになりました!!」 「マグネット盤を…」 それを聞いて、望みを持つアキラ。 (ヒカルは、この世から消えようとしているわけじゃない…。碁と共にあるのならば、きっと生きている!!) そう確信をして、藤原邸を後にした。
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