★Angel〜佐為が消えた〜4★
ヒカルは両親と共に、誰も足を踏み入れないような森の中に住んでいた。 父と母と自分の三人だけの世界。 他に天使がいるなどと思ったことのないヒカルは、両親意外の天使に会えなくても不満はなかったし森には沢山の動物達がいて…例えどんな凶暴な動物であってもヒカルは友達になれた。
もとより、丈夫な身体ではなかった母が病気になり…父と自分に悲しみだけ残して永遠の別れを告げたのは、ヒカルが11歳のとき…。 それから、愛する母を失った父の身体は生きる気力を失い…死ぬ為に生きているような日々であった。 でも、病魔は父の身体を少しずつ犯していき…。 だからこそ、どんどんやせ細っていく父の身体をみているとヒカルは悲しかった。
ヒカルの父は、ヒカルを弱くなった力で抱きしめて 「ごめん…ヒカル。お父さんは弱い…。お前を愛しているよ。でも、お母さんを一人に出来ない…。」 そういって、ヒカルの頬に口づけする。 「いやだ!お父さん、オレを一人にしないで!!」 そう言って顔中を涙だらけにして父にすがりつくヒカルの頭を何度もなぜながら、 「お前もたった一人の人に出会いなさい…。…人に…出会いなさい…」 そう言いながら、幸せそうに微笑みながら息を引き取った。 ヒカルは本当に一人になってしまった。 母の愛した庭に作られた母のお墓の隣に父のお墓を作ると、ヒカルはもう誰にも涙を見られることがないのに、いつもの大きな樹の下に行き…大きく盛り上がった根っこに顔を擦り付けるように、何時間も泣いた。 そうして、知らない間に寝入ってしまったヒカルを優しく揺する手が…。
寝起きと泣きすぎたせいで、殆ど開かない眼を無理やり開くと、そこには見たこともない美しい人が…。 「ヒカル…君…?」 声をきいてその人が始めて男の人だと知り、また驚くヒカル。 「私は貴方のお父上の友人です。昨晩急な知らせで、お父上の事を知り駆けつけましたが…間に合わなかったようですね…。」 「大丈夫ですよ。私は、貴方を迎えに来たのですよ。貴方は一人じゃない…」 優しく微笑む彼は、黙ったままのヒカルが悲しみのあまり声が出ないと思ったようで、 「可愛そうに…。これからは、私が貴方と共におります。だから泣かないで…」 そう言いながら、メソメソと泣き出した。 (なんで、コイツが泣くんだ?)
ヒカルの眼から、また熱い涙が行く筋も流れてきた。 「かあさん…」 「ヒカル君…?」 「かあさ〜ん!とうさ〜ん!」 思い出したように泣き出したヒカルを、彼は優しく抱きしめてくれて。 「これからは、私がずっとお傍におりますよ」 そう言うと、優しく微笑んでくれたのだ。
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