★Angel〜還る場所〜9★

アキラからの忠告などなかったかのように、ヒカルは夢中になって白い皿の上にハムやベーコン野菜にトースト…。
と、こぼれんばかりの食べ物をとり続ける。

粗方とり終わったヒカルは、さてデザートの果物でもとろうか!と、デザートの台に足を伸ばし瑞々しく光っているオレンジに手を伸ばす。
と、同時に横から手が伸びてきて、同じオレンジを取ろうとした天使と手がぶつかった。

「あっ!」

ヒカルは、つい手をひく。
と、相手もほぼ同時に

「すみません。」

といって、手を引いた。
その声に、自分の頭の片隅に引っかかるものを感じてヒカルは顔を上げて目の前の人物を見る。
その視線に気づいた相手も顔をあげ…

「あっ、和谷!」
「オマエ!進藤…!?」

お互いの顔をマジマジと見ながら、素っ頓狂な声をあげる二人。
周囲が、そんな二人に注目する中、それさえも気づかない様子でヒカルは興奮して「和谷」と呼んだ少年に向かって笑いかける。

「なんでこんな所にいるんだよ!」
「お前こそ!!」

ヒカルに笑いかけられて、「和谷」と呼ばれた少年も嬉しそうに笑う。
ヒカルと同じ様な、元気がよさそうな瞳をキラキラさせた彼は、佐為の家の近くにすむ少年で、ヒカルがアキラの次に出会った…自分と同じくらいの年の子供だった。
佐為の目を盗んでは、近場を探検していたヒカルと出会い、追っかけっこをしたりゲームをしたりして、よく遊んでいたのだった。
見知った顔の出現に、お互いに驚きつつも嬉しくて、周囲などお構いなしに話し込もうする。
と…、

「なに?ひ…進藤、どうしたの?」
「あ!アキ…塔矢!!コイツさ!」

何時までたっても、自分の後ろをついてこないヒカルを心配してアキラが迎えに来たのだ。
いかぶしげにヒカルと和谷とを見比べるアキラに向かって、ヒカルは興奮した様子で話し出す。

と、和谷横からのほうからも背の高い優しそうな青年が現れ

「どうしたんだ、和谷。朝食終わっちまうぞ?」
「あ!和泉さん!!だって、コイツさ〜」

同じ様に興奮している和谷は、和泉と呼びかけた青年にむかって、しゃべり続ける。

が、彼らが口を開く前から、そんな四人の様子は食堂中の視線が集まってきて…

「とりあえずここでは注目を浴びすぎるよ。席に移動しよう?」

そう言ってアキラは3人の前を歩くと、さっさと先ほどとっておいた自分たちの席に腰を下ろす。
その様子がいつもと違うことに、興奮しながらアキラの横に腰を下ろしたヒカルはもとより、誰も気づかなかった。

 

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