★Angel〜還る場所〜8★
食堂には、昨日とは違い帰省から戻ってきていた寮の住人達であふれていた。
そのほとんどがヒカルと同じ初段から3段くらいのもの達だ。
棋院にはまず入るのに試験があり、入所した段階で初段として半年間の勉強があり、それが済んだものは見習いとして、更なる勉強を続けることになる。 実践として職務に就けるものは、その中から試験に合格した極一部のものだけだ。
例え、入所できても試験に受からなければ 永遠に初段として見習い止まりになってしまうのだ。
とりあえずのところ、周りはライバルばかり…というわけであった…。
(オレ…やってけるかな…)
ヒカルは、ようやく大勢の天使と同じところにいることには慣れたが、こんなに沢山の自分と同じ年代の天使をみるのははじめてである。 周りの様子をこっそりと伺っていると、
「ヒ…進藤、こっちだよ」
とアキラが窓の近くの席に移動する。 黙ってうなずいて、その後に続いたヒカルだったが…
(なんか…スゴイ見られてる気がする…。)
アキラと共に奥まった席に着いたにもかかわらず、視線をもろに感じるのだ。
(なんだか…気持ちワリィ)
ただでさえ、山で生活をしていたヒカルは、人の気配に敏感である。
でも、山で接していた動物とは違い…
(この感じは佐為の家に初めて連れて行かれた時と…似てる)
探るような眼差しの多い中、憎しみにも似た強い感情もある…。それを嫉妬とい
うのだが、ヒカルはまだその感情を知らなかった…。
「ヒカ…進藤…どうしたの?」
アキラが心配そうに、心無しか元気のなくなったヒカルをのぞきこむ。
その瞬間ますます、この嫌な気配が強まった気がしたが…
(オレは負けないんだから!!)
と決意を新たに顔をあげると、
「なんでもね。腹減っただけ。」
そう言って、無理に笑顔を作る。 その不自然さに、戸惑いを覚えながらアキラは席を立って、後方を指差す。
「そう…ならいいけど。朝はバイキング形式だから、好きなものをとるんだよ。」
バイキング形式の食堂のカウンターには、果物やヨーグルトパンにベーコンなど様々な料理が乗っている。
それを見た途端
「スゲ〜」
急に目を輝かし始めたヒカルに
「食べ過ぎで動けなくならないようにね?」
とアキラは笑った。
◆9へ◆
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