★Angel〜還る場所〜7★
ヒカルが朝目覚めると、空は晴れ渡っていた。
目がさめてまず飛び込んできた天井の見慣れない色に
(…ここ…どこ…?)
目覚めきらない頭で、やっと棋院の寮であることを思い出し、一気に青ざめる。
(やべっ!今日は初日じゃん!!)
寝坊したかと飛び起きると、思わず慣れないベットの高さによろける。
「ワッ!」
持ち前の運転神経で転ぶことは避けれたが、つい驚きのあまり大きな声をあげて
しまう。
「どうしたんだ!?」
衝撃でやっと頭がしっかりしてきたヒカルに声がかかる。
「あ…ワリィ 何でもない。」
(そうだ…昨日からアキラと一緒の部屋なんだっけ…)
まだボーとしているヒカルに心配そうにアキラが近寄る。
すっかり制服に着替えてピシリと決めているアキラをみて、ヒカルはもう一度血の気がひく。
「な、今何時?オレ寝すぎた??」
ひどく慌てたヒカルの様子にアキラは苦笑いをしながら、クローゼットに手をか
ける。
「大丈夫だよ。今起こそうとした所だから。まだ十分時間はあるから、早く着替えて朝食に行こう。」
そう言ってヒカルの制服を取り出した。
急ピッチで着替えたヒカルの跳ねた髪をアキラが直してやり、二人は食堂に向かう。
相変わらずヒカルは慣れない窮屈な服が気になるようで、しきりに首もとをひっぱている。
「なぁ、この制服って毎日きんの?」
ついに溜まらなくなって、ヒカルがアキラに訪ねる。
「いや 、今日はキミの初日だからだよ。普段は、肌の露出が少ないものであれば自由だ。」
「肌の露出が多い服ってどんな…?」
「キミが持っている服はほとんど…かな?」
「え〜」
ヒカルが好んで着る服は、古典的な布を巻くタイプの羽が出しやすいものが多い。
一番着やすい…というのもあるが、流行などとは無縁に山奥で暮らしていたヒカルは、初めあまり服を持っていなかった。
佐為と暮らすようになって、佐為が買え与えた分増えたが、佐為もまた流行などとは無縁な生活をしていた為…。
「折角佐為が買ってくれたのにな〜」
ブツブツつぶやくヒカルに
「でも、この間 母と買い物に行ったろう?」
先日入学にあたり、ヒカルの身の回りのものを揃えるために買い物に行った…と
聞いていた。
「う〜ん、でも明子さんが選ぶ服ってなんか変な気がする…。だから、窮屈そ〜な中でも楽な感じでかっこいいヤツ、お店の人に選んでもらったんだ〜。」
「そう…。」
母が聞いたらショックを受けそうな事をサラリと口にしたヒカルだが、明子のセンスが偏っていることはアキラ自身が体験済みの為、黙って頷くしかなかった。
「でも、何着かはおばちゃん買ってたんだよな〜。オレまだみてないけど…。あと、普段着よりカチっとした感じ?のはおばちゃんが選んでくれたみたい。」
「ふ〜ん、そう。じゃあ、そのうち家に帰る時に着ていったら?きっと母も喜ぶよ。」
アキラの提案に、いつも優しい明子を喜ばせるなら!とヒカルもすぐにでも賛成する。
そうだな〜、それいいかもな!
だが 後にそのせいでヒカルは絶叫することになるのだった…。
◆8へ◆
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