★愛情大盛り物語1★

「塔矢〜!お前、昼喰ってないだろ?」

僕が、対戦結果を記入していると、僕の背後から声がかかる。
そこには僕と同じように、中押しで勝利を収めた僕の想い人が立っていて。
僕は頬の筋肉が緩むのを感じながら彼に微笑む。

「うん。これから食べるよ。キミは?」

僕が対戦中は、食事を取らないことを彼は知っている。
その所為か分からないけれど(その所為であってほしいが…)彼は僕には声を掛けずに、院生時代の友人達と食事に出かけたのを僕は目の端で捕らえていたので知っていた。
でも…僕は、彼と一緒に過ごす時間が欲しくて…囲碁とは関係のない時間を持ちたくて、わざとたずねる。

「オレ?オレは喰ったよ。だって、飯食わないと力でね〜もん。」

さも、当然だ!という顔で答える彼。
僕はちょっと悲しくなる。
そこは、嘘でも「まだ」と言って欲しかった…。
キミは僕と一緒に食事はしたくないのか!?

まぁ、そうだろう…彼は食事を取っているわけだし、僕と彼の食事の好みは大分違うし…。

僕が、人知れず傷ついたり自己弁護したりしていると、彼が不思議そうな顔をしている。

「なに?」

僕が、咳払いをしながらたずねると

「いや…飯行かねぇ〜の?」

そりゃ、キミは不思議だろうね。たかが、食事を誘うぐらいで…別に断られたわけじゃないけど、戦う前から勝敗が分かっている試合の様に…キミを誘えない僕のことなんか…。

キミにはきっと分からないだろうね。鈍感だから!!

僕は、もう半ばヤケクソな気分で心の中で彼に悪態をついた。


 

2  へ

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