お鍋ぐつぐつ8★
大きめに切った鶏肉を、ヒカルがフーフーと息をかけて冷ましながら口にいれるのを見て、アキラも薄切りの豚肉に口をつける。
「う〜ん、結構いけるんだけど…なんか、あっさりしすぎてんだよなぁ」
ヒカルが、鶏肉を口にいれながら感想を言うと、アキラもムッとしながら
「これだって、まずくはないけれど、ちょっとくどいんじゃない?鍋には剥かないよ。灰汁だってホラ、豚肉の所為でこんなに出ているじゃないか?」
「なんだよ、ソレ!美味かったらいいじゃん。大体、お前は味覚がじじいすぎんだよ!!若者だったら、コレぐらいのがいいんだって!!」
行き成り、ジジイ扱いをされたアキラは、日ごろのウップン+先程溜まっていたストレスが一気に爆発する。
「キミの味覚がずさんすぎるんだ!性格そのままの味覚だな!」
和やかな雰囲気から一転、急にケンカをし出した二人に、葦原があわてて仲裁に入る。
「なんだよ、二人とも〜。急にけんかし始めて!どっちだっていいじゃないか…好きなのを食べれば。鍋ってそういうもんだろ?」
珍しく的を得た、大人的意見を発した葦原だが、普段が悪い為ちっとも相手にされていない。
「じゃぁ、次はコレ喰ってみろよ。」
ヒカルがアキラの皿に、シメジを入れる。
無言で、アキラもヒカルの皿にえのきを入れる。
両者にらみ合ったまま、互いの皿にあったきのこに喰らいついた。
その後は、牡蠣と蟹。木綿豆腐と絹ごし豆腐…と、二人が競って買っていたものを互いの皿に入れながら喰らいつく…という行動が繰り返され…。
若い二人の異様な気迫に押されていた葦原が、身体を引いてアキラの背中の後ろから緒方に話しかける。
「緒方さ〜ん。結局、この二人がこれだけの材料を買っていたのって…」
緒方は、ちびりちびりと飲んでいた日本酒を一気にあおってから
「まぁ、こういう競争からってことだろうな…フッ、若いな。」
そういうと、楽しそうに、グラスに酒を注ぎ足した。
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