お鍋ぐつぐつ7★

「よし。そろそろいいぞ。」

灰汁をとっていた緒方が、火の通りをみて、食べごろサインを出す。

「やった〜!やっと喰えるよ〜!!」

唯でさえ空腹で買出しに行ったのに、具がいい頃合いになるまで散々待たされた為ヒカルは、もうおなかが空いて倒れそうなほどであった…。
一回、おなかが空きすぎたので、生煮えでもいいや〜と、生で食べれるはずの野菜に手を伸ばそうとしたら、

「進藤!それはまだ煮えてない!」

と緒方に睨まれてしまった。

碁盤をはさんでいる時のような鋭い緒方の睨みに、結局欠食児童のヒカルも大人しくお預け状態で待っているしかなかったのだった。
ようやく出たオッケーサイン。
ちびりちびりと酒を飲む緒方と、品よく箸を進めるアキラの横で、元気よく箸を動かすヒカル。

「進藤!もっと、よく噛んで喰え!!」

そう小言をいいながら、美味しそうに笑顔で食べ続けるヒカルに、緒方もなにやら嬉しそうである。

「な〜んか、緒方さんって、進藤君の事お気に入りなんだな?」

緒方がヒカルに豆腐をとってやっている隙に、葦原が隣のアキラにコソッとささやく。
アキラの目が座っている事に気づかずに…。

「それにしても、美味いな〜。やっぱ鍋は豚だよな!!」

そんなアキラに気づきもしないで黙々と鍋をつついていたヒカルが、嬉しそうに豚肉に喰らいついているのを見て、益々アキラは眉間の筋が浮きそうなほどイラつきを覚えた。

そして、良く煮えた鶏肉をスッと掴むと、ヒカルの器に入れる。

「あっ!なにすんだよ!!?」

行き成り無言で、ポチャッと投げ入れられた大き目の鳥肉に、鍋豚肉推奨派のヒカルは目くじらを立てる。

「文句は、それを口にしてからにしてくれ!」

そういって、睨みつけるアキラに向かって、今度はヒカルが

『ポチャッ』

と豚肉を入れてよこす。

「お前こそ、それ喰ってみろよ!!」

両者はジッとにらみ合いながら、お互いがよこした肉に箸をつけた。

 


 

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