お鍋ぐつぐつ4★
「で、どうしたんだ?その買い物は?」
ほっといてくれ…と思うアキラの心に反して、緒方は楽しげにアキラの荷物を覗き込む。
その緒方の目線を追ってアキラの手元に改めて気づいた葦原までもが、「ホントだ〜、すごい量の買い物だな〜?」 何するんだ?何するんだ?と、期待いっぱいの笑顔で問いかけてくるので、ついアキラも誤魔化しきれなくて、「鍋をするものですから…」
うっかり口を滑らしてしまった。
しまった!と思ったときには、時既に遅し…。
アキラ曰く、性質の悪い大人が二人…それも、何でか今日に限って暇をもてあましていた様子…。
ここぞとばかりに、一人暮らし○何年・お料理大好きな葦原が体を乗り出してアキラにせまる。
「鍋〜?そんな楽しそうな事なら呼んでくれよ〜。今、先生達いないからって、お前ん家に様子見に行ったんだよ〜。」
葦原が拗ねるように騒いでると、その葦原の頭を押すように緒方が小突く。
「葦原、お前は気の利かないヤツだな?アキラ君だって、親が居ないときぐらい羽を伸ばしたいだろうが。」
なぁ?と、ニヤニヤ笑いながらアキラに目を向けてくる。
その意味ありげな言葉に、常に鈍感なくせに…こんなことには敏感に反応した葦原が
「えっ?アキラ、それって友達?それとも彼女??」
すっかり自分の妄想に入ってしまった葦原は、アキラの彼女か〜、俺も年取るわけだよなぁ〜と何故か楽しげである。
違う世界へ行ってしまった葦原の誤解を解くべくアキラが口を開いた瞬間…。
「よぉ、進藤!」
「こんにちは〜緒方先生。葦原さん。」
いつの間にか近くに来ていたヒカルに気づいた緒方が、またうれしそうに顔をゆがめながら(アキラにはそう見えた)声をかけたのだ。
ヒカルはとりあえず、塔谷門下ではないし…と遠くから三人のやり取りを眺めていたのだが、遠めにも進展のなさそうな会話に思えたので、痺れを切らしてアキラの隣までやってきたのだった。
「あ〜、進藤君。じゃぁ、アキラと鍋やるのって…。」
「オレだけど?」
急に話を振られて、キョトンとしているヒカルと正反対にアキラは苦い顔をする。
その対比を楽しそうに眺めながら、
「やっぱり、さっき一緒に歩いてたのは進藤だったのか」
と満足げでさえある。
(どうせ…確信していたんだろう…)
妙に勘のいい所は、勝負師ならではなのだろうが…
(わざわざ、知っていて知らない振りをするなんて…)
何を考えているのか分かったものではない…。
アキラがストレスゲージを溜めているのに対して、ヒカルなどは街中で知った顔に会うことが嬉しいのか暢気なものである。
「今日、塔矢んちで打ってたんだけど、オレが腹減っちゃって。今日は、先生もおばさんも居ないじゃん。だから、オレ達で飯作ろうと思ってさ〜!」
「それで、鍋か…。」
「うん、だって冬って言ったら鍋じゃん。つーか、オレむずかしい料理とかできね〜もん。鍋なら、煮るだけ♪」
カンタン♪〜かんたん♪〜と歌うように、はしゃぐヒカルに、 「甘い!」 緒方の低い声が飛び、トレードマーク(?)の眼鏡が光った…(かの様にみえた。)
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