お鍋ぐつぐつ3★

予想外に大量に買い物をしてしまった二人の両手は、荷物でふさがり、常に食べるのが専門のヒカルなどは早くも根をあげる。

「塔矢〜、超おめ〜。買い過ぎなんじゃん?」
「キミの所為でもあるだろう?さぁ、すっかり日も暮れ始めてるんだから早く帰って支度するぞ!」

自分の責任であるのも忘れて、ぶーたれているヒカルを無視してさっさと家路を急ぐアキラ。

「ちぇ〜、オレ18になったら絶対免許とろ!」

「なんだよ、急に?」
「だってさ〜、免許あったらこういう時楽じゃん!」

「免許があるだけでは、そうとは限らないんじゃないの?」

「なんでだよ?」

「車だって必要だし、例え車があったとしてもあんな風に、二人乗りみたいなスポーツカーじゃ大して役にはたたなそうだよ」

ヒカルは、アキラの目線をおって対向車線をはしっていた赤いスポーツカーをみる。

「え〜、オレあんな感じのスポーツカーいいなぁ。かっこいいじゃん!そういえば、緒方先生の車もあんなじゃなかったけ?」

二人して、そのスポーツカーを見ていると、車は急にターンをしてアキラとヒカルの歩く歩道の脇に寄ってきた。

「アキラ〜!何してるんだ?」

その赤いスポーツカーの窓から顔を出したのは、二人も良く知る人物・葦原弘幸であった。

「葦原さん!」

思いがけない人物の登場に、思わず声を上げて近寄るアキラ。

「フッ、アキラ君。これはすごい量の買い物だが、パーティーでもやるつもりか?」

そんなアキラの様子を楽しそうに運転席から噂の緒方がなにやら楽しげに見ている。


「緒方さん…」

兄弟子である緒方は、幼い頃はそれこそ世話をしてもらったこともあったらしいし共に学んでいた頃は自分にとって兄のような存在であった。
が…最近、やたらと絡んでくるので、アキラはふと嫌な予感がする。
何故なら、緒方が一番喜ぶのは、自分と進藤が一緒に居るところをからかう事なのだ…。

それは、「進藤など興味がない!」と言っていたアキラが好んで…というより、むしろ執拗なほど時間さえ空けばヒカルと打っていることにも問題があるのかもしれないが…。
どちらにしても、自分を良く知る人物の、理由の分からないからかいには日々苦い思いをしているアキラである。

幸い、ヒカルは名前を呼ばれたアキラから少し離れたところで自分を待っているようだ。
もしかしたら、一緒に歩いていたときに緒方は、二人に気付いていたかもしれないが…。

(どちらにしても、性質が悪い大人なんだ!!)

盤外戦なら負ける気はないですよ?…そう心でアキラは呟いた。

 

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