お鍋ぐつぐつ2★

 

肉コーナーを離れてからも二人の意見は真っ二つに割れた。

魚介ゾーンで

「蟹!」
「牡蠣!」

とケンカになり、野菜ゾーンで、

「しめじ!」
「えのき!」

はたまた、豆腐の前で

「木綿!」
「絹ごし!」

そんな事を何度繰り返しただろうか…。
ただでさえ、目につく鍋用らしき具材を、片っ端からカゴにつっこんでいる二人。
途中から、カゴにも入り切らなくて、カートまで持ち出す始末…。
レジでの精算も目玉が飛び出るほどだが、そこは未成年といえども社会人が二人…。
と、言っても母親にしっかり貯金の管理をされているヒカルには、驚きの値段だったが、アキラはサラッとそれを支払うと、
きっちり半分払おうとしていたヒカルに

「今日はキミは、お客様だから必要ないよ」

と断った。
そうなると、『ラッキー』とは思うのだが、同じ年のライバルにこれだけおごられるのは悪いというより癪である…。

「オレも一緒に食うんだから、払う!」

逆にムキになって、アキラにお金を押し付けようとするヒカル。
そこでまた、レジの前で荷物をつめながら

「払う!」
「いらない!」

でヒトモメをはじめた。

さすがに年若い二人が仲良く買い物をして、「払う払わない…」というおばさんめいたやり取りには、周囲から目を引いた。

そんな人の目に、いち早く気づいたヒカルが、罰が悪そうな顔で残りの食材を袋に詰め込むと


「じゃあ、今度はお前がうちにこいよ!そん時は、オレがたらふくごちそうして やるからな!!」

と啖呵をきった。

「それじゃあ、今日は君にたらふく僕がご馳走するから!」

何故か、お互いスーパーの袋を握り締めながら一瞬にらみ合う。

お互いに負けづぎらいなのであった…。

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