★港・横浜・午後10時★ 北斗杯の後、何故かオレは高永夏に連れられて横浜に来ていた。 (なんで、韓国人なのにこんなトコしってんだ…?) そう思うほど、そこからの夜景は綺麗で…。 オレが黙って夜景を見ながら、永夏の様子を伺っていると…同じく夜景をただ見ていたやつが振り返った。夜景の薄暗い光を上げて、男から見ても綺麗な男だと思う。 「×××××××××」 永夏がオレに向かってなにか話しかける。 碁を打ち終わって、さて帰ろう…かと思い韓国語の話せる塔矢が周りの客に捕まっているのをボーと見ていたら、行き成り永夏のヤツに腕をつかまれ、そのまま急に駆け出され、タクシーに乗せられ…。 (コイツ帰んなくっていいのかな…?) 秀英は、帰る日を一日ずらして、明日帰るって言ってたからコイツも同じなのかな? 北斗杯で戦うまでは、コイツの事本気で腹が立ってた。 それでも、今日の碁会所で塔矢と話してるのを見てると、口はわるいやつみたいだけど…。 「×××××××…ヒカル」 名前が呼ばれたから、きっとオレに向かって何か言ってんだろう。 「なんだよ…?寒いけど…お前だってさみぃ〜だろ?」 オレは、掛けられたヤツのジャケットをヤツに掛け返す。 「でも、お前案外優しいよな。サンキュ!」 そういってオレが、意外なヤツの一面に、笑っていると… 『フワッ』 気付くとオレは、ヤツの胸の中にいて… 「ちょっ…!なんだよ!!」 オレがびっくりして、オレより(むかつくけど)遥かに高いヤツの顔を見上げると、ヤツは海から吹いてくる突風からオレをかばう様にして、 「×××××××…」 と、何かを言った。 多分、オレをかばってくれてる?? なんか、変なヤツ…。 そう思ったけど、さっきまでの強い風がデカイ永夏の身体で遮られて…大分暖かくなった。 永夏もオレとくっ付いてて暖かいのか、オレから離れようとしない。 なんだか、おかしな状況だと思ったけど…言葉は通じないし、昨日までの緊張と疲れと今日の朝が早かった事と…。 結局オレ達は、30分くらいソコでそうしていて…。 どうやってか、その場所に駆けつけた塔矢と秀英に捕まって…。 つかまることが分かっていたかのように、永夏は息を切らして凄い形相をしている二人をみても、しらっとしていた。 囲碁も会話もしないで…不思議な時間だったけど、なんとなく永夏の事が分かった気がして、オレは嬉しかった。 ただ、その後塔矢にさんざん 「君がいつでもボーっとしているからいけないんだ!」 「君は、飴玉をもらっておかしな人についていってはいけないと聞いた事はないのか!!」 とか…。 オレの覚えのないことまで、説教された…のには、参った。
◆終わり◆ |