★港・横浜・午後10時★

北斗杯の後、何故かオレは高永夏に連れられて横浜に来ていた。

(なんで、韓国人なのにこんなトコしってんだ…?)

そう思うほど、そこからの夜景は綺麗で…。
しかも、平日のせいか殆ど人がいなかった。
ただ、少し高台の海辺なだけあって風が強い。

オレが黙って夜景を見ながら、永夏の様子を伺っていると…同じく夜景をただ見ていたやつが振り返った。夜景の薄暗い光を上げて、男から見ても綺麗な男だと思う。

「×××××××××」

永夏がオレに向かってなにか話しかける。
でも、オレは韓国語がちっとも分からない。
今日、秀英と秀英のおじさんの碁会所で打ったときは秀英や、見物に来た塔矢がいたから、言葉には不自由がなかったけど…。

碁を打ち終わって、さて帰ろう…かと思い韓国語の話せる塔矢が周りの客に捕まっているのをボーと見ていたら、行き成り永夏のヤツに腕をつかまれ、そのまま急に駆け出され、タクシーに乗せられ…。
そのまま横浜に連れてこられて…、オレの腹の虫がなったのを聞いた永夏が中華街でラーメンを何故かおごってくれて、それでここに連れてこられた。

(コイツ帰んなくっていいのかな…?)

秀英は、帰る日を一日ずらして、明日帰るって言ってたからコイツも同じなのかな?

北斗杯で戦うまでは、コイツの事本気で腹が立ってた。
でも、実際に戦ってみて…、こいつが本当に勉強している事がわかって…。
当然、秀策の事も尊敬してるんだってわかって…。

それでも、今日の碁会所で塔矢と話してるのを見てると、口はわるいやつみたいだけど…。

だけど…おごってもらったからって訳じゃないけど…結構気が利くやつだなぁって、一緒に歩いたりして思った。
なんか、オレもこいつと話せたらいいんだけど…。
でも…言葉が通じないじゃん…。

「×××××××…ヒカル」
「?なんかユッタカ??」

名前が呼ばれたから、きっとオレに向かって何か言ってんだろう。
そう思って、顔をあげると、ヤツは長いまつげを伏せがちちして、オレをジッと見つめて、来ていた黒いジャケットを掛けてきた。

「なんだよ…?寒いけど…お前だってさみぃ〜だろ?」

オレは、掛けられたヤツのジャケットをヤツに掛け返す。

「でも、お前案外優しいよな。サンキュ!」

そういってオレが、意外なヤツの一面に、笑っていると…

『フワッ』

気付くとオレは、ヤツの胸の中にいて…

「ちょっ…!なんだよ!!」

オレがびっくりして、オレより(むかつくけど)遥かに高いヤツの顔を見上げると、ヤツは海から吹いてくる突風からオレをかばう様にして、

「×××××××…」

と、何かを言った。

多分、オレをかばってくれてる??

なんか、変なヤツ…。

そう思ったけど、さっきまでの強い風がデカイ永夏の身体で遮られて…大分暖かくなった。

永夏もオレとくっ付いてて暖かいのか、オレから離れようとしない。

なんだか、おかしな状況だと思ったけど…言葉は通じないし、昨日までの緊張と疲れと今日の朝が早かった事と…。
かばわれるのも、オレよりガタイがでかいのもムカつくんだけど…。
悪気があってやってるんじゃないって、分かったから…オレは、なんとなく気持ちよくってそのままにしていた…。

一瞬…コイツに連れ出された時に振り返った、人の塊の中心で、何やら声をあげていたオカッパの恐い顔が浮かんだけど…。

結局オレ達は、30分くらいソコでそうしていて…。

どうやってか、その場所に駆けつけた塔矢と秀英に捕まって…。
(永夏が、秀英のおじさんに夜景の綺麗なところ…ってことで、この場所を聞き出していたらしい事で足がついた…納得)

つかまることが分かっていたかのように、永夏は息を切らして凄い形相をしている二人をみても、しらっとしていた。

囲碁も会話もしないで…不思議な時間だったけど、なんとなく永夏の事が分かった気がして、オレは嬉しかった。

ただ、その後塔矢にさんざん

「君がいつでもボーっとしているからいけないんだ!」

とか

「君は大体無防備すぎるんだ!」

とか、しまいには

「君は、飴玉をもらっておかしな人についていってはいけないと聞いた事はないのか!!」

とか…。

オレの覚えのないことまで、説教された…のには、参った。



◆終わり◆

つい浮気でヨンハです。ヨンヒカも好きなので…。
でも、私の話、くっつき系が多い…?
恋はちょっとしたふれあいから…って事で…よろしいでしょうか?…ね。