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★母と息子の子供の日。5★ それから、3日後…ヒカルがスーツを取りに家に帰ってきた。 元気そうな顔にホッとしながら、用意しておいた換えの下着やら何やらを出して居間に戻ると… 「あれ?コレ出したんだ?」 飾っておいた五月人形をヒカルが見ていた。 「そうよ、久しぶりにね。懐かしい?」 自分には無愛想な息子が、気づいてくれた事が嬉しくて私はニコニコしながら息子のネクタイを取り出す。 (まだまだ、手のかかる子供ね!!) できる事なら、この特権がいつまでも続けばいい…そう思う反面、社会人としていつまでもネクタイが結べないようでは困る!!と思うのだから、母親心も複雑だ。
「あ、そうだ!」 そう言って足元に投げてあった、いつも背負っているリュックを探りだす。 「どうしたの?ヒカル。何か、忘れ物?」 ゴソゴソと自分に背を向ける様に、荷物をあさっていた息子が急に立ち上がって 「キャッ!」 思わず声を出して驚いてしまう。 (この子ッたら、いつの間にかこんなに大きくなったのかしら?) 小学生の頃は小さくて、それが悩みの種でもあったのだが…いつの間にか自分の頭より越してしまった。 「コレ!」 といって、ヒカルが何か差し出してきた。 「?」 急に目の前に突き出された綺麗な包装紙が、何の事か分からなくて私がヒカルの手元をみていると 「ホラ!」 といって、無理やり手に包みを乗せられた。 「?ヒカル…?」 不思議に思って息子の顔を見上げると、そこには顔を赤くして照れたような息子が立っていて。 「ちょっと、早いけど…母の日!いつも心配かけて…ごめん」 怒鳴るように目もあわせずに言う息子。 嬉しくて、涙が出そうになって…私はうつむいた。 「オレも、正直忘れてたんだけど…塔矢が教えてさ…それもアイツが選んできたんだ」 そう言いながら、私の横で着替えを始めるヒカル。 そこには綺麗なシルクのハンカチが…。 「まぁ、綺麗。」 私が、微笑を浮かべてヒカルを見ると着替え終わったヒカルが罰が悪そうな顔をして立っていて。 「いつも、心配かけてごめんな。」 そういう息子の顔に、穏やかな瞳を見つけて…。 (この子は、きっと大丈夫ね) 嬉しくて、つい涙を流していると…ヒカルが照れたように 「ホラ!遅刻するから、早くネクタイ!!ネクタイ!!!!」 そういって私にせかすと、ネクタイを渡してきた。
「じゃ、行って来ます!」 元気な声で、扉をあけていくヒカル。
(それにしても…) 私は手の中にある綺麗なハンカチを眺めて、ふと疑問に思う。 (確か、これは塔矢君が選んできた…と言っていたわね) お金は自分で出したと言っていたけれど…。 (普通、親のプレゼントを友達が選ぶかしら?) そう思うと、やはり疑問で頭を傾げたくなる。 (まあ…仲がいい事はいい事だけれど…塔矢君にあんまり迷惑をかけないように、ヒカルに今度いっとかなくっちゃね!!) 私は、やっぱり手のかかる息子に心の中でお小言を言うと、自分の涙でぬれたハンカチをサッと広げてにこやかにみつめた。
5回も押していただいてありがとうございます!!ここまで、読んでくださってありがとうございます!!佐為との別れ…北斗杯…と自分のことに精一杯だったヒカルが母の日を忘れてた…という話です。アキラのやさしさを、ちゃっかり自分の手柄にしてしまうあたりがヒカル…と思いながら、だれよりも心配をかけたお母さんにちょっとでも、お礼が出来るといいなぁと思い書きました。ちょっとでも楽しんでいただければ幸いです。 |