★星降る庭5★


別れがつらくて、二度と感情がはっきりしている動物は飼わない…と決めたけれど、悲しみ以上に彼らは、自分に色々な思い出をくれたではないか。
その事が思い出されて、緒方は自分を見上げる黒猫の頭を撫でる。

目を細める黒猫に、何か話しかけようと口を開いたそのとき…

「あきら〜」

弟弟子の名を呼ぶ女性の声がして、緒方はドキっとする。

と、『ガサガサ』と木々がなり、植え込みから白いコックの服を着た女性が現れてた。

「あ!あきら!!」

その女性は、緒方の腕に抱かれている黒猫を見て口を押さえる。
猫のほうも

「んにゃ」

と嬉しそうに鳴くと、緒方の腕から地面にジャンプして、女性の方へ歩いていく。
女性は、うれしそうにその頭を撫ぜながら

「よしよし、今日はご馳走だよ〜」

といいながら、植え込みに押し込んであった小さな皿を取り出して、パーティの残り物と思われるものを差し出している。
中よさそうな一人と一ッ匹を見つめていたヒカルだったが

「ねぇ、お姉さん。」

話しかけたれて、女性が

「なにかしら?」
「その猫、アキラって言うんだ?」
「そうよ。このホテルの従業員みんなで世話してるの。」
「そうなんだ!」
「この子を気にしてくれたのね。ありがとう!」

とてもうれしそうに、微笑む女性にヒカルも微笑み返す。

女性は、まだ仕事があるというので、すぐ戻ってしまったが再度嬉しそうに食事を始めた猫をみながら、

「良かった。」

ヒカルがつぶやく。

「何がだ?」
「コイツ、忘れられたわけじゃなかったじゃん。」
「俺の言ったとおりだったろう。」
「そうだね。」

静かに、嬉しそうに答えるヒカルにと裏腹に、緒方の心にはすこしだけ落胆という字が浮かんでいた。

後日、「お前と同じ名前の猫がいて…」という話題から、その日のことを全てライバルに話したヒカルは知らなかった。
自分のライバルが、張り付いた笑顔の奥で、

「緒方さん…僕の進藤と、二人で夜に密会ですか?覚えていてください!」

と決意を胸に抱いていたことを…。



 

◆おわり◆

 

このお話は、キリページの6666HITリクエストのイラストから、飛び出しました。よろしければそちらもごらんください!こちら(別窓)