★○ードキャプター ○くら 的ヒカルの碁2(後編)★


碁会所からの帰り道、アキラは一人公園のブランコにボンヤリ座っていた。
なんとなく、家にまっすぐ帰りたくない…そんな気持ちで。

(ヒカルと一緒にいたかったな…)

ブランコを揺らしながら、先ほど分かれたばかりのヒカルのことを思い、切なくなる。
思いは重なっているはずなのに、なぜ切なくなるのだろう。
地面をただ見つめるアキラの背から、

「アキラ!!」

聞こえるはずのない、愛しい声。
ハッとして、振り向くとそこには今考えていた恋人がいた。

「ヒカル…どうしたの?」

息を、ハァハァ言わせて、自分に駆け寄ってくるヒカルの髪を整えながら、彼の顔を覗き込む。
そこには、喜びに溢れた笑顔。

「あのな、和谷がアキラも一緒に飯食ってけ!って!!だから、一緒にいこ?」

それが、とても嬉しいと全身で語るようなヒカルに、アキラも今まで感じた焦りを拭い去る。

(ヒカルはこんなに、自分を求めてくれている。自分と一緒に居ることを喜んでくれる…。それでいいじゃないか!)

「ありがとう。じゃ、伺わせてもらうよ」

蕩けるような笑顔になりながら、アキラはヒカルとヒカルの家へ向かうのだった。


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ヒカルの家では、和泉も来ていて、夕食を作っていた。
アキラとヒカルも家事になれた手つきで、その手伝いをする。
おいしそうな中華が出来上がり、ヒカルの父が仕事で遅くなるというので4人で食事を食べ、しばらく皆で囲碁をして過ごした。

「今日はごちそうさまでした。僕はこれで、失礼します。」
「塔矢君、またね。」
「まぁ、一人暮らしでホームシックになったら来てもいいぜ!」
「和谷!!」

憎まれ口を叩く、兄を軽く睨み、帰り支度をするアキラについてヒカルも玄関へおりる。

「ちょっと、アキラ送ってくる。」
「いいよ、近いし…。もう遅いし、君が危ない。」
「そこの角の公園までだから!」

送ろうとするヒカルに、可愛い彼が心配なアキラは断るが、ヒカルは断固受け付けない。

結局、アキラが根負けして徒歩2分ほどの距離である公園まで…(アキラとヒカルの家の真ん中)送ってもらうことになった。

二人そろって、外にでると夜空にはすっかり星が出ている。

「う〜ん、結構あったかいなぁ」
「そうだね、もうすぐ夏だもんね」
「ちょっと、公園に寄ってかない?」
「でも、お兄さんが心配するよ?」
「大丈夫だって、和谷は分かってるから」

自分が危険にさらされれば、和泉が察してくれるはずである。
部屋において来た佐為もいる。
なにより、今は傍に一番頼りなるアキラがいるのだ。
心配することなど何もない…ヒカルはそう思う。


結局、アキラとてヒカルと二人でいたかったのだ。そんな誘惑に逆らえるわけなどないわけで…。

二人で、夜のブランコをこぐ。

「あのさ…さっきさ…」

一心不乱にブランコをこいでいたヒカルだったが、今日にブランコを止める。

「ラーメン屋に行く約束…守れなくってごめんな」
「いいよ、また君と一緒に行ける楽しみが伸びただけだもの。」

やさしい、アキラの言葉に先ほどのアキラの行動が自分を思ってのことだということを感じるヒカル。

少しはなれたところに座るアキラの整った顔を、見つめると胸が詰まるようになる。

(今、アキラに触れたい!キスしたい!!)

駆け巡るような感情に、ヒカルは立ち上がりアキラの前に立つ。
ブランコに腰掛けたままのアキラが不思議そうに自分を見上げる。

ブランコを持つ彼の手に、自分の手を重ねて、ヒカルは触れるようなキスをする。

初めてのヒカルからのキス。

いつも済ました顔のアキラの、驚いた顔が何だか可愛くてもう一度キスをする。

二度目の衝撃で、ようやくアキラのほうも立ち直り…ブランコから勢いよく立ち上がるとヒカルを抱きしめる。

「ヒカル…。」
「アキラ…。」

お互いに名前を呼ぶことが出来ないほど、喜びに二人は溢れ…。


公園の電灯に照らされたヒカルの顔は、とても綺麗で…。
アキラは、吸い寄せられるようにキスをする。

どちらからともなく、何度もキスを重ねて…。

それだけで足りなくなってきたアキラが、ヒカルの唇をなぞる様に舐める。
驚いたように唇を開けたヒカルの口に、すばやくその舌を滑り込ませヒカルの舌を絡め取る。
滑らかで冷たい感触に、一瞬身体を震わせたヒカルだったが…アキラの熱い想いが伝わって来て…自分を求めるその気持ちをもっと感じたくて…アキラのされるがままになる。

(恐いけど…なんだか、感触が気持ち悪い気もするけど…アキラの気持ちをもっと感じたい…。このまま…)

彼を確かめたくて、うっすら目を開くと、怒ったような顔で自分を求めてキスをしてくるアキラの顔がアップで飛び込む。
自分の大好きな、真っ直ぐな瞳がきつく閉じられて…。
綺麗な綺麗なアキラ。

アキラといえば、初めての行為にしがみ付くようなヒカルが愛しくて、益々彼の舌に自分の舌を絡める。

(君の全てを吸い取りたいほど君が好きだ!僕の全てを君にあげたいほど君が好きだ!!)


長い長いキスの後で、息が出来なくなってようやく離れた二人。

「ちょっと苦しかったな…」

恥ずかしそうに笑うヒカルに、

「そうだね、今度からは鼻で息をしたらいいのかもね?」

また、しようね?とアキラが笑うので…

(また、あの変な感じのをするのかぁ〜。普通のがいいんだけどなぁ)

と、内心思いながらも、とっても幸せそうなアキラの顔を見ていたら自分まで幸せになって彼の願いを何でもかなえてあげたくなったので、

「そうだな!」

と、ニコニコしながら答えたのであった。

結局、ヒカルが朝みた夢は予知夢だったのか過去夢だったのか…分からない。

アキラも、今日の予定は大幅に変わってしまった。

でも、初めてキチンとした大人のキスに二人は幸せだった。

◆終わり◆