ヒカルと別れたくない…。
でも…
ごめんね、ヒカル。
もうじき、私はいく。
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「なぁ、佐為!明日は、塔矢先生んちだよな!!すげ〜楽しみ!!!アキラも帰ってくるかな??」
「ふふふ、ヒカルッったら。明日は早いんですから、もう寝なさい。明日の事は、明日楽しみましょう。」
最近何故か忙しくて、一緒にいる時間が少なかった大好きな佐為と、この3日程ずっと一緒にいるのだ。
碁を打ったり、馬に乗ったり。
本当に楽しくてあっという間に過ぎ去ってしまった。
ヒカルは、楽しさに一日中はしゃいでいたので大分疲れていた様で、佐為が大きなベットに寝かしつけるとすぐに寝息を立て始めた。
そのヒカルの横に、横たわり佐為は可愛い愛弟子の顔をジッと見つめる。
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ヒカル…。
この屋敷に始めて連れてきたときは、私の後ろに隠れてしまって誰とも言葉を交わさなかったのに。
いつからでしょうね、この屋敷を笑顔でいっぱいにしてくれたのは。
私は貴方に碁を教えたけど、私自身、貴方から…もっと暖かいものを沢山教えてもらいましたよ。
貴方は、ご両親の愛に包まれて生まれてきた子だから…なのでしょうか?
黙っていく私を、貴方はきっと怒るでしょうね。
恨むかもしれない…。
それでも、貴方に泣かれてしまったら、私の決心が鈍ってしまうかもしれないから…許してください、ヒカル。
貴方を信じています。
きっと、『神の城』へ来てくれることを。
きっと、塔矢アキラが貴方を導いてくれる。
貴方と共に道を行くものは、私ではないと…貴方が囲碁に夢中になったあの日に気付きました。
ねぇ、ヒカル。貴方は知らないけれど、貴方のお父上は碁の才能に溢れる方だったんですよ…。
だから、きっと貴方も喜ばれるだろうと…碁を教えたのだけれど、貴方はあまり興味を持ちませんでしたね。
私が好きだから、付き合ってやっているのが分かりました…。
そんな時、塔矢アキラに貴方は出会った。
まるで、引き合うように…お互いの力がぶつかり合って…。
幼い活き活きとした力がぶつかりあう様子は、神の一手を目指す私とて武者震いがするようでした。
あの時貴方は負けてしまったけれど、塔矢アキラの真剣な様子に…引き寄せられるように、碁に夢中になりましたね。
私はうらやましい。
たった一人の己を高めあえる相手に出会える事が…。
「ん…ん
…」
「こんなに布団から手を出して…、ふふ…、成長してもヒカルはヒカルですね…」
でも、こんな風に布団を直して上げられるのも今日で最後…。
ねぇ、ヒカル。
楽しかったですよ…。
そして……、いつまでも見守っています。
だから、これから起こる事に負けないで。
貴方を信じています。
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