★愛情大盛り物語4★

それからが、ともかく忙しなかった。

「パスタはのびたらまずいんだ!」という彼にせかせれて、スパゲッティーを食べ(確かに彼がいうように、美味しい店だった) 、今度は彼のパフェが溶け始めたので、ソレを食べ。

「ほら!塔矢も喰えよ!!」

彼が僕へと、パフェを差し出す。

「えっ?」

そのスプーンは、今まで彼が口をつけていたものなのだ。
僕が驚いていると

「あれ?お前、こーゆーのダメ?」

といって、スプーンを引っ込める。
僕は、その手を反射的に掴んでしまった。

「あっ!ごめん。」

僕は、思わずしたことに、自分でも驚いて謝ると 彼が笑いながら

「なんだよ!欲しいなら、早く言えよ!!」

そういって、パフェの器ごと僕の目の前においてくれる。
正直僕は、甘いものは和菓子なら平気だが、この生クリームというものが苦手だ。

でも…

『パクッ』

クリームとアイスをすくって口にいれると、少し解けたアイスが甘く口の中に広がる。
その甘さに眉をよせながら、僕はにこにこしていたらしく…彼が不思議そうな顔で

「なぁ?その顔って、美味いって事?まずいって事?」

と聞いてきた。




なんとか全て食べ終わり、一息ついてから約束どおり僕らは父の碁会所へ向う。
そこで何時ものように、何局か打って検討をして…。
珍しく、ケンカもしないで済んで、僕らは一緒に帰路につく。
空がすっかり、暗くなっていた。

僕は…こんなに帰ることが憂鬱になる日が来るとは思わなかった。
今日が楽しすぎて…、家に帰ってしまったら彼と繋がっていた全てが急に切れてしまう気がして…。

(ああ…もっと、今日が続いていればいいのに…。)

「オレもそう思うぜ!」

突然の、彼の返事に僕は驚く。
どうやら、僕は夢中になって考えていたせいで、その言葉を声に出していたらしい。
あまりの恥ずかしさに、顔が赤くなるのが分かる。
暗闇で彼にはわからなかったはずだけど…、彼はニコニコしている。(ように、うっすら見えた。)


今日は彼が僕を引っ張ってくれた。
彼が僕らの向き合っただけの関係を引っ張ってくれたんだ。
今日みたいに、もっと色々なものを分かち合えれたらどんなに幸せだろう…。

(今度は…僕が誘ってもいいのだろうか?)

そうしたら、キミは僕に笑顔を見せてくれるだろうか?

臆病だった僕に、彼との間接キスでうつった前向きさと、先程の彼の返事が勇気をくれる。

「進藤!これから、家で打たないか?」

僕の呼びかけに、今度ははっきりと暗闇にも彼が笑ってくれたのが分かった。


おわり

 

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