★歯磨き上手にできるかな?3★ 甘えてくる進藤が余りに可愛くて、口のサイズを測る振りしてキスをしたのはまずかった…。 僕は、すっかり怒ってしまった進藤を、夕食という餌で懐柔するべく台所にたちながら、先ほどのことを思い出して、小さく笑ってしまった。 進藤は怒っているけど、本気じゃない事ぐらいすぐ分かる。 (本当に、照れ屋で扱いにくい…) そこがまた可愛いんだけど…と、進藤に知れたらまた殴りかかりかねない事を考えながら彼の好物をつくる。 今日は、エビチリに中華スープ。野菜嫌いな進藤の為に、温野菜のサラダをグラタン風にして… (これだけ、作れば機嫌も直るかな?)
ただ、時々今日歯石を取ったために歯茎が少し痛むらしく、顔をしかめていたのが気になったけれど、長い目でみたら彼のため! そんなこんなで、いつも通りに食事を終えて、二人で後片付けをして… 僕がメールのチェックや棋譜の整理でパソコンをいじっていると、いつも食後はダラダラ本を読んだりTVをみたりしている進藤が、歯ブラシを手に僕の横までやってきた。 「どうしたの?」 ちょっと、途方にくれたような表情に猛烈にそそられながら、それを隠してたずねると 「あのさ〜、さっき言ってたやつ」 ちょっと気恥ずかしそうにしている、進藤に僕は抱きつきたいのを抑えながら、ちょっと意地悪をしてみたくなった。 「ふ〜ん。僕はエロジジイだから、触って欲しくないのかと思った。」 そ知らぬ顔で、そう言うと、ちょっと慌てたように 「だから〜、悪かったって!って、あれはお前が悪い!!」 謝ってるんだか、怒ってるんだか分からない態度に、僕は益々意地悪な気分になってしまう。 「君、虫歯が出来ない体質だってえばってたじゃない。どうしたの?急に」 そういうと、進藤はちょっと気まずそうに俯いて消え入りそうな声で、 「だって、今日すげ〜痛かったんだもん。虫歯じゃないのにあんなに痛かったら、虫歯になったときもっと痛いんじゃん!」 つまりは、今日の検診と歯石を取ったことが痛かったため、もっと症状が進んだときは更に治療に痛みが伴うにちがいないと思っているらしく… (そこまで悪くなったら、逆に麻酔をかけるから痛くないんじゃ?) という疑問が頭をよぎったけれど、そう信じ込んで…痛いことにならないように努力することにしたらしい進藤に教える事もないな…と思い、彼の歯磨きをチェックする事になった。
「なんでだよ〜。座ったままでも分かるじゃん!」 「プロならそうだろうけど、僕は生憎違うからね。普通、親が子の歯磨きをチェックするのもこうやるんだよ。」 僕は自分が幼かった頃の事を思い出して言った。 「え〜恥ずかしいじゃん〜」とブツブツいいながら、僕の膝に頭を乗せてくる進藤。 普段だったら絶対にありえない行為に、僕は(このまま押し倒してしまいたい…)という衝動を必死で押さえ、真剣な顔で手鏡を持ちながら歯磨きに取り組んでいる進藤をみつめる。 なんとか、彼が一通り磨くのをみて、 と言って、彼から歯ブラシを取り上げる。 僕が歯ブラシを彼の口に向けると、歯医者で何度もされた行為にすっかり慣れた彼が大人しく口をあける。 今までにない素直な彼に、僕は (毎日でも磨いてあげたい…) と思ってしまった。
「サンキュー!塔矢!!これで、もう総入歯とはオサラバダぜぃ!」 すっかりいつもの調子に戻ってしまった、進藤に…さっきまで親鳥の餌を待つ小鳥のような彼を思い出して、僕はちょっと寂しくなった。 だから…。 「そうだね…。すっかり完璧に磨けるようになったけど、たまには今みたいにチャックしたほうがいいんじゃないかな?」 「え〜、めんどくせぇよ。もう完璧だし、大丈夫!!」 「んじゃ、さ、1ヶ月に一回。チェックしてくれよ!!」 と、可愛らしく小首を傾げてきたので、それに流されまいと心を鬼にして 「駄目!せめて1週間に一回は見ないと。歯石は、一度ついたらまた取るのが大変なんだからね。」 結局、「歯石」の二文字に進藤が折れて、1週間に一回…僕は進藤の歯磨きチェックをする事になった。 と、僕は淡い期待を抱いて週に一回の可愛いスキンシップを楽しみにしている。
おわり ------------ 改めて編集の為によんでいると、アキラさんは三行に一度の割合で、ヒカタンを押し倒したい模様…。 アホは私です…。すみませーん。
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